SCBサロン<オサンポキモノ推進委員会編>
地域活性化を目的としたSCBプラットフォームでつながる人のルーツを紐解き、ビジネスや活動への想いを伺っていきます。
今回は、7月8日(土)に早川倉庫で和のイベント『浴衣と花火とグラスワイン』を開催するオサンポキモノ推進委員会のイマヅカヨさんにお話を伺いました。
オサンポキモノ推進委員会のはじまり
イマヅさんは何か着物関係のお仕事をされているんですか。
会社員で事務をしています。着物とは関係ないですね。
そんな普通の会社員さんが、どういった経緯で着物の活動を始められることになるんですか。
もともと何となく着物が好きで、上通のほうにある「呉楽」というリサイクルの着物屋さんに通っていました。
そこで着付け教室をやっていた竹下先生と出会って、着付けを習い始めたら、着物を着るのが楽しくなって。
それを友達に伝えていたら、友達も「着たい」となって。着物を着たら、次は「どこかに行こう」という話で。じゃあ、着物を着てランチに行こうということで、「着物ランチ会」をやっていました。
そのときは、お友達同士の個人的な集まりという感じで。
そうですね。そして、あるとき、甲佐町の「山ぼうしの樹」という古民家をリノベーションした場所があるんですが、そこの社長さんと出会って。
古民家を使って、着物のイベントをやらないかというお話をいただいて。そこで書道家の先生と一緒に着物のイベントをやり始めたのが最初ですね。
そして、人吉の着物好きの人たちが人吉で着物ファッションショーをやることがあって。友達がやっていたので、私もお手伝いで入ったんですけど。
たまたま、それを見た水前寺参道を取り仕切っていらっしゃる方が、「水前寺参道でもやらない?」と声をかけてくださって。
そのときに、着物というと少し敷居が高いので、もっと気軽に着物を着てお散歩をするようなイメージで、「オサンポキモノ推進委員会」と名付けて。それからは「オサンポキモノ推進委員会」として活動をするようになっていきました。
そのときのメンバーが、今のオサンポキモノ推進委員会のメンバーなんですか。
いえ、イベントはその都度、興味がある人と一緒にやるような感じなので。固定メンバーというのは、いないと言えばいないんですよね。
じゃあ、イマヅさんが主で動きながら、色んな人に声をかけて作り上げていくという感じなんでしょうか。
自分がやりたいこと、興味があることを、とりあえず周りの人に伝えて。「こういうことやりたいから、協力して」「一緒にやろうよ」と。
それに対して、みんなが「良いよ」と言ってくれている結果ですね。
色んな活動をしていく上での資金面はどうされているんですか。
それは会社員で働いたところから。スポンサーとかは特にないので。
そうなんですか。ぶっちゃけ、結構、出費しますよね。
どんどん多くなっていますね。
なので、イベントをやるのは、夏と冬のボーナスのあとにやっています。
なるほど、日頃の頑張った成果がイベントとして形になっていると。そこまで、自腹を切ってまでやるモチベーションって、何なんでしょうね。
みんなが例えば、好きなアーティストのライブに行くときにお金をかけるじゃないですか。それと同じ感覚なんですよね。
好きなことをやる。そこにお金と時間を費やす。それがこういった活動というだけであって。
だから、あまり特別という感じはしてないんです。
イベントでは、着物の着付けをされているんですか。
オサンポキモノ推進委員会という枠で、レンタルで着物や浴衣を出しています。
そのレンタルの着物や浴衣は、どこからくるんですか。
私の私物です。
そこも手弁当なんですね。
はい。多分、着物は100ぐらいあると思います。浴衣は今、集めているので、40ぐらいですかね。
では、基本は女性が対象ということなんですか。
男性の着物もあるんですけど、少し幅が狭いので。今回のイベントでは、「KIMONO-男子」というリサイクルをメインとした着物屋さんがいるので、そちらにお願いしています。
イベントの時は、おいくらで着付けをしてもらえるんですか。
浴衣のレンタルと着付け込みで、1,000円でいたします。
他にも色んなお店が出店するので、そちらでのお買い物も楽しんでもらいたいんですよ。
今回は入場料1,000円をいただくので、浴衣レンタルと着付けは1,000円で出して、その分、色んなお店を回っていただければ良いなと思っています。
ファーストキモノのお手伝い
オサンポキモノ推進委員会が仕掛けるイベントのテーマと言うか、目指すゴールみたいなものは何だと思われますか。
名刺には、「『ファーストきもの』のお手伝い」という言葉を入れているんです。
女性は、着物を最初に着るのは、成人式が多いんですけど。みんな、成人式のイメージがすごい悪いんですね。苦しかったとか、大変だったとか。
でも本当は、着物って、そうじゃないんですよね。
初めて着物を着たときに、気持ち良く楽しく着られたら、次もまた着たいという風になるんじゃないかと思うんです。
その最初の着物を楽しく着るお手伝いができればなと思っています。
イマヅさん自身も、最初の着物は成人式のときですか。
成人式でしたね。
そのときの感想はどうだったんですか。やはり、ちょっときつかったなという印象なんですか。
そうですね。次に自分で着ようとか、まさか自分が着付け師の資格を取るなんて、思いもしませんでした。
そして、成人式のときはレンタルだったんですけど、当時は着物のことを全く知らなかったので、今だったら、あんな着物のコーディネートはしないと思います。笑
だから、例えば、高校生ぐらいで着物の楽しさが分かれば、成人式で着る着物を自分で選べると思うんですよ。
こうしたイベントを利用して、成人式前に一度着物を着ておくと、成人式の着物選びも変わってくると。
一度、知識が入った状態で選べるので良いと思います。
イマヅさん自身は、成人式での『ファーストきもの』の印象は良くなかったかと思うんですが。その後、何がきっかけで、これだけ着物にハマることになったのでしょうか。
その当時、SNSで「カジュアル着物の会」というグループがあって。みんなで着物を着て、熊本城で写真を撮るというようなイベントがあったんです。
そこで皆さんの着物姿を見て、楽しそうだなと。「着物=成人式」だけじゃないんだなと思ったんですよね。
男女共に、何だかちょっとオトナな感じがして、その雰囲気も良いなと思いました。
そこから着物に対するイメージが変わって、着付け師の資格を取るまでになった。同じように、カジュアルなイベントを通して着物の楽しさを伝えていらっしゃるのでしょうね。
そうですね。まずは羽織ってみる、着てみる機会を増やす。
今回のイベントでは、浴衣レンタルはするんですけど、足元はレンタルしないんです。
足元はスニーカーだったり、サンダルだったりでも可愛いので。
みんな下駄じゃないとダメだと思っているけど、そんなことはないので。こういう足元でも良いですよということも、提案していきたいです。
そんなに自由さがあるというのも、あまり知られていないのかもしれないですね。
ルールとか、TPOとかじゃなくて、まずは羽織ってみる。
そうすると、女性は特に、鏡に映った自分を見て、可愛いとか綺麗とか、感じるものがあると思うんですよ。
それに気づいたのが、農家のお友達がいて。
多くの農家の方は、日焼けして真っ黒で、女性らしいオシャレを楽しむ機会も少ないと思うんですけど。彼女は着物に興味があって、うちに来て、着せてあげたときに、顔色がいっぺんに変わったんですよ。ふわっとピンク色になって、「お姫様みたい」と言ったのを見たときに、これだなと思ったんです。
女性って、生きていく中で頑張らなくてはいけない時間が沢山あると思うんですよね。でも、死ぬまで女性なんですよ。
着物で着飾ることで女性を意識する。私は可愛くいて良いんだとか、綺麗でいて良いんだとか。
着物を着ると、仕草も自然と女性らしい仕草に変わってくるので。
そういう風に女性を意識する時間にもなれたら良いなと思っています。
今後も、こうした着物のイベントを継続していくことが目標になってくるのでしょうか。
そうですね。これだけではなくて、もっと違うことも、アイデアが浮かべば、どんどんやっていきたいなと思いますね。
逆に、こういうイベントをうちでやってほしいとか、何か一緒にしたいなという人は、声をかけてもらったら、何かできるかもしれないですよね。
この活動に共感してくれる、一緒に楽しみたいという方と出会ったら、すぐに巻き込みます。
着物が着たくなる、着物って楽しいんだと思ってもらうキッカケになるようなイベントを、これからもやっていきたいです。
オサンポキモノ推進委員会
https://www.osanpokimono.kumamoto.jp/
<SCBサロン>
写真撮影:水本浩一、渡邉宣之
ファシリテーション:内藤豊