コラム インタビュー

モデル 前田一翠インタビュー

前田一翠

熊本人物キュレーション


その人のルーツを紐解き、仕事や活動への想いを伺っていきます。

今回は熊本市出身で、今年1月にイタリア、ミラノで開催された〝Dolce&Gabbana Alta Sartoria Teatro La Scala, Milan January 28th, 2017〟のshowに出演した、モデルの前田一翠さんにお話を伺いました。

モデルになったキッカケ


高校までは熊本で、大学進学で静岡の東海大学に進みました。

学生時代は、将来何をしたいと思われていたんですか。

海上保安官か、警察官になろうと思っていました。

モデルとして活動を始めるのは、いつぐらいからですか。

大学時代に、たまたま声を掛けていただいて、東京へ行ったときにファッションショーを見たりとか、実際に出演させていただく機会があって。

それで「こういう世界もあるんだなぁ」と、ちょっと思っていたんですね。でも、そのときもモデルをやろうとは思っていなくて。

大学を卒業して、健康に関する仕事をしていたんですけど。

今思うと、その当時はすごく調子に乗っていて。「自分、イケるな」と思っていて。(笑)

調子に乗って、『ミスター・ジャパン』という、ミス・ユニバースの男性バージョンの大会にエントリーして。

それでたまたま入賞して、3位になって。

それがキッカケで、モデル事務所に入ることになりました。

『ミスター・ジャパン』に出られたのは、自分を試したいという感じだったのでしょうか。

色んな雑誌を見ていて、「自分のほうが、もっとできるんじゃないか」という自信。何の根拠もないんですけど、自信しかなくて。

ただ、そのときに初めて写真を撮ってもらったんですよ。

スーツを着て、カメラマンを目の前にして撮ってもらったときに、雑誌に載っているスーパースターたちのように、余裕でできていると思っていたんです。

そうしたら、その写真がとんでもなく酷くて。

そこからポージングとか色々と研究していくうちに、面白くなってきたと言うか。自分に合っているなと、直感ですけど、思って。

その難しさとか、奥深さみたいなものが分かって、逆に興味が湧いてきたんですね。

そうです。それで仕事を辞めて。そこから始まりましたね。

海外への挑戦


モデルさんはどういうステップでキャリアを積まれていくんですか。

基本はオーディションばっかりです。

最初はポージングとかも全然できなかったので、もちろん、オーディションは全部落ちましたし。まったく仕事はない状態でした。

それでも、やっていくうちに自分で何となく分かってきて。少しずつ仕事が決まるようになってきたんですね。

そして、モデルは身長が185以上あると、海外でも挑戦できるということを知って、海外に行こうと思うようになっていきました。

そんなときに、ある方の紹介でテレビ熊本の番組に出させていただくことがあって。

テレビ熊本の方が、海外のエージェントに詳しい人ということで、Bianco e Rosso(ビアンコエロッソ)のSHOKOさんを紹介してくださって。

それから、SHOKOさんと一緒にイタリアへ渡って、色んなことを教えてもらいました。

やはり海外でもオーディションを受けていく感じですか。

そうです。そのオーディションに行くときも、まず事務所の入り方から、ちょっと分からないんですよ。ボタンを押したりとか色々あって。

そんなところから、全部教えてもらいました。当時は英語も喋れなかったので、SHOKOさんが全部通訳してくれて。

結局、そのときは決まらなかったんですよ。全然ダメで。

でも、もう一回、今度は自分一人で行きたいなと思って。次の年のファッションウィークに、一人で行きました。

その勇気と言うか、すごいですね。

もちろん、そのときも一人で行ったって、何も喋れないから、イタリア語と英語で紙に書いて。

「俺は、とにかく、この事務所に入りたいんだ!」という熱い想いを。

それで事務所が決まって、スタートラインに立てた感じです。

言葉が通じない世界に飛び込んで、勝ち取ったという感じですね。すごいな。

でも、本当にタイミングなんですよ。

「ブッカー」という、モデルをブッキングできる権限のある人がいるんですけど。

僕は事前に何もアポを取っていないんですよ。

だから、その人がそのタイミングでいなかったら、もう終わりなんですよね。

それで行っているにもかかわらず、そのときにブッカーさんがちゃんといらっしゃって。

こんな英語も喋れないようなやつの話を聞いてくれて。

パソコンの前に連れていかれて、「私はあなたに興味がある」というのを、パソコンの翻訳でいろいろ伝えてくださって。

その場で契約という感じで、事務所が決まったんですよ。

熱意が伝われば、相手も聞こうと歩み寄ってくれるんですね。事務所が決まってからは、どういう流れなんですか。

ファッションウィークの1ヶ月ぐらい前に事務所を探しに行って、事務所が決まって。

一度、日本に戻って、1月のファッションウィークのときに、また行きます。

事務所からオーディションのメールが届くので、色んなキャスティングを受けていきます。

その中の一つに、メインで歩かれたドルチェ&ガッバーナがあったわけですね。

ドルチェ&ガッバーナは人気のブランドなので、書類審査に受かって審査会場に行くと、2000人ぐらいのモデルが並んでいました。

その中で、キャスティングの人が5人ぐらいいて、決めていきます。

それで決まったのが、「オートクチュール」といって、コレクションの中で最上級のもので。

オーダーメイドの世界に一つだけの服を、ドルチェ&ガッバーナがモデルのために作るんですね。

そして、会場はミラノのスカラ座という、イタリアの文化を体現しているような最高の場所。

そんな最高が揃う舞台で、モデルとしてメインで歩くことができました。

ドルガバ

モデルはマネキンであり、マネキンでない


ショーを歩かれるときは、どういったことを意識されているのでしょうか。

ショーのときはマネキンですから、瞬き一つできない。なぜなら、瞬きのときに顔に目が行くから。

僕たちは洋服を見て欲しいので、洋服を見てもらうことに命を懸けています。

では、「自分が、自分が」という人では難しいんですね。

絶対ダメですね。

雑誌の一枚の写真でも、フォトグラファー、ヘアースタイリスト、メイクアップアーティスト、スタイリスト、ディレクターとか、色んな人たちが関わっています。

そこには、その人たちと作り上げるストーリーがあるんですね。

だから、「俺が、どうカッコ良く表現できるか」ではなくて、みんな駒であって、一つのものをみんなで作り上げるという感じです。

そうすると、その空間がすごく美しくなって、どこを切り取ってもカッコ良くなると言うか。

本当にすごく良い作品ができるということを知っているので。そういったことを意識しています。

チームで作り上げる結晶なんですね。

そういう意味では、モデルはマネキンであり、マネキンではないんですよね。

一つのものを作り上げる仲間として好かれるためには、きちんとお話ができないといけないですし、色んな知識がないといけないですし。

ヘアースタイリストやメイクアップアーティストに、飽きられてはいけないと思うんですよ。

だから、いつも違った自分を見せたいという気持ちがあります。

そのために、普段のトレーニングだったり、努力を続ける必要があると思います。

ドリームキラーに打ち勝つ強い気持ち


スカラ座を歩かれたのが、今年の1月ですよね。モデルになられて、どれだけの期間でスカラ座までたどり着いたんですか。

大学卒業してからなので、3年目ですかね。

最初の頃と比べて、その3年で何が変わったと思われますか。

マインドです。完全にマインドですね。

いつもイメージしています。「俺は歩ける、絶対に歩ける」と。

それが夢にも出てきます。

そこまでイメージすると、絶対に叶います。

すごく思うのが、「ドリームキラー」って、よく言いますよね。それは親とか、身近にいるんですよ。

「そんなの無理だよ」「お前には、できないよ」とか言う人ですね。

めっちゃ言われましたよ。色んな人たちに。

「お前が歩けるわけない」「お前ができるわけない」。

いろいろ言われましたけど、やってみたら全然そうじゃない。

それはやってみないと分からないし、それをぶち壊せるぐらいの気持ちがないと無理だなというところはあるんですけど。

自分が行けたので、本当に誰でも行けると思います。

英語、喋れませんし。

だけど、そのイメージをすることができれば、強いなと思いますね。

あとは、根拠のない自信です。

自信がなかったら、それが表に出そうですもんね。

出ちゃいますね。そして負けちゃいます。

そこは根拠のない自信として、立ち向かうしかない。

だって、海外のすごいカッコイイ人たちは、Instagramのフォロワー数が数百万人とか普通にいるんですよ。

それでも、歩けなかったりするわけです。

そんな人たちと勝負する中で、その自信に根拠なんてありませんよね。

どうすれば、その自信が持てるのでしょうね。

例えば、僕は空手をやっていたから、その部分で「ここなら、絶対に勝てるからな」みたいな。

そういう違う部分での自信を身に付けるというのは、アプローチとして、あるかもしれないです。

あとは、他の人はあまり気にしないことですね。

自分の勝負なので。自分の一番の状態を保って、それができれば、あとは結果はしょうがない。

あとはデザイナーの好みの問題みたいな。

そうなんです。好みの問題なんです。

ありのままの自分を表現して初めて、評価をもらえるので。もう、そこは気にしないです。

求められている人に近づける努力、準備をしっかりして、それでダメだったときは、「今まで、これだけ懸けたのだから」と、諦めがつくんですよ。

納得のいく努力ができていれば、次へ進めるんですね。

そうです。キャラクター が合わなかったんだなと。それだけなんですよね。

最後に、今後の目標や挑戦していかれたいことなどあれば教えてください。

モデルとして精進していくのはもちろんですが、色んな人に「モデルとは、何なのか」ということを伝えていきたいという想いがあります。

その一つの形として、8月に熊本で先行してトークライブを開催します。

どういったイベントになりそうですか。

日本で一番活躍されているモデルの江口雅也さんと一緒に、モデルの世界のこと、僕だったら、ドルチェ&ガッバーナのショーを歩くまでの道のりとか、海外での色んな経験をお話できると思います。

食事だったり、自分たちがやっているトレーニングについてもお話しますし。

あとは、今アンケートで色んな人に興味があることを聞いていますので、そういった率直な疑問にもお答えすることができれば良いなと思っています。

今回のようなトークイベントは、女性は多いんですよ。ミス・ユニバース関係の方とか。

でも、メンズモデルというのは、結構、レアだなと思うんですよね。

しかも、それが熊本で開催されるというのは、かなりレアな機会でしょうから、色んな方に聞いてもらえると良いですね。

モデルを目指している人はもちろんですが、モデルとは直接関係のない様々な分野で夢や目標を持っている人にも、僕たちの経験をお伝えして、少しでもお役に立てることがあれば良いなと思います。


TOPメンズモデル「Masaya x Issui プレミアムトークライブ in 熊本」

https://www.facebook.com/events/1847576462161401/

 

※記事のお写真は前田一翠さんにご提供いただきました。