コラム クラクラ編集部

「小国杉エッセンシャルオイル」が良いのは、気のせいじゃなく、木のせい

小国スギ精油
引用元:小国町森林組合ウェブサイト(http://ogunisugi.com/products/oil)

エッセンシャルオイルの科学的分析


2017年2月27日(月)、小国町の隣保館で開催された「小国杉エッセンシャルオイル研究発表会」に参加してきました。

今回の研究発表の経緯は、小国杉エッセンシャルオイルを販売している小国町森林組合が、九州大学の清水邦義准教授に小国杉の香りの分析を依頼。

清水准教授は小国スギの精油とアロマウォーターについて、その香りがどんな影響を与えるのか科学的に分析。

その研究結果を発表する場が今回のイベントでした。

ここでは、その発表内容をメモベースでざっくりシェアします。

採取時期による香りの違い


  採取月ごとに作ったものを成分分析

・「精油(エッセンシャルオイル)」と、精油精製の過程で精油と分離する芳香蒸留水の「アロマウォーター」について分析。

・ 精油:2月〜12月の各月に採取されて作られたオイルを分析。

・ アロマウォーター:5月〜12月採取のものを分析。

  解析結果

・ 精油:季節による変動が少なく、年間で安定している。モノテルペン類が多く(全体の85%~95%)含有されている。

・ アロマウォーター:季節変動がある。Thujoneは夏頃から増加、Z-3-hexenolは秋頃から増加など。

・ 精油とアロマウォーターは、同じ小国スギの枝葉から精製される油と水だが、根本的に2つは違うものと考えたほうが良さそう。

抗菌作用はあるのか


  抗菌活性を分析

・ 大腸菌と黄色ブドウ球菌について、精油とアロマウォーターの抗菌作用を実験観察。

  観察結果

・ 大腸菌:精油、アロマウォーターともに、抗菌活性は観察されなかった。

・ 黄色ブドウ球菌:精油では菌のコロニーが観察されず、完全に抑制していた。

人の体や心にどんな影響を与えるのか


  ヒトを用いた生理・心理応答に関する試験

・ 大学生11人を被験者に、実験室(防音室)で香りを嗅いでもらいながら、安静状態、作業(課題)、作業後の安静状態の数値を計測。

・ 測定したのは、心電図(交感神経活動の指標)、唾液アミラーゼ(ストレスの指標)、血圧・脈拍(自律神経活動の指標)など。

・ 心理応答のアンケート調査も実施。

  試験結果

・ 交感神経活動:精油では下がり、リラックス効果が見られた。

・ ストレス(アミラーゼの数値):精油でもアロマウォーターでも、統計的有意差はなかった。短期的な生理的違いは出ないと考えられる。

・ 血圧、脈拍:精油では最高血圧、最低血圧、脈拍の低下が見られた。

・ 匂いが分かる程度の高濃度精油では以上のような結果が出たが、低濃度精油ではそれが見られなかった。また、アロマウォーターでも統計的有意差のある結果は見られなかった。

・ 香りの好ましさでは、アロマウォーターが好まれるという結果になった。

・ 作業(課題)の成績:有意差はなかった。

科学的分析結果のまとめと考察


  季節による変動を活かしたブランディング

小国スギの精油は、年間を通して品質が安定している。

一方で、アロマウォーターは季節により含有成分に違いがあるので、例えば「春摘みアロマウォーター」のように、季節ごとの商品ラインナップで、自分に合う香りを見つけてもらうというブランディングができるのではないか。

  黄色ブドウ球菌はアトピー性皮膚炎の増悪因子

小国スギの精油は、黄色ブドウ球菌への抗菌活性を観察できた。

黄色ブドウ球菌はアトピー性皮膚炎の増悪因子と言われているので、アトピーの悪化を防ぐことが期待できる。

  鎮静的な効果と成果の両立

一定以上の濃度の小国スギ精油を吸引すると、リラックス効果が期待できる。

その上、通常はリラックス効果は課題成績に影響するが、小国スギ精油の場合は、集中して課題へ取り組むことに悪影響はなく、課題成績に差はなかった。

研究発表会の感想


今回、この研究発表会というイベントに参加した理由は、小国杉エッセンシャルオイルに興味があるからではありませんでした。

大学と組んで科学的に検証するという、この取り組みが「いいな」と思ったので参加しました。

  「豊かな自然で手間暇かけて作りました」だけじゃない

地域の特産品は、得てして「この豊かな自然の中で手間暇かけて作りました」だけで、売ろうとしているものが多いように感じます。

そりゃ、大自然の恵みを採れたてでお届けしていたりするわけで、ものは良いに決まっているのでしょうが、それだけでは多くの人に、手にとってもらうのは難しい。

それで次の段階では、デザイナーを入れて、パッケージなどを今風にアップデートする。地方創生ブームも手伝い、ちゃんとデザイナーを入れるところまでは、だいぶ広がってきているような気がします。

でも、今回のように大学などの研究機関と組んで、そのものが「なぜ良いのか」、そもそも「(科学的に)本当に良いのか」などを検証している地域の特産品って、それほど見聞きしません。

オシャレなデザインが直感的に刺さる層もいれば、科学的検証をベースにしたロジカルな説明が刺さる層もいる。

そんな中で、地方のブランド力の乏しい商品は、あの手この手で色んな層に魅力を伝えていく多面的な取り組みが大事なのだと思います。

小国杉エッセンシャルオイルは、デザイナーも入れて、大学と研究もして、ベンチャーとアロマデュフューザーでIoTにも挑戦してという、あの手この手の先進事例としても、注目の商品です。


小国町森林組合「小国杉エッセンシャルオイル」
http://ogunisugi.com/products/oil