コラム クラクラ編集部

著書『影響力の武器』から心理学の「コントラストの原理」を知る

バケツ
photo by Pixabay

ロバート・チャルディーニ著『影響力の武器』 (誠信書房)


心理学系の定番の名著とされる『影響力の武器』から、身近な話としてよく分かる「コントラストの原理」についてシェアメモです。

かい摘みます。

  「コントラストの原理」とは

簡単に言うと、私たちには、二番目に提示されるものが最初に提示されるものとかなり異なっている場合、それが実際以上に最初のものと異なっていると考えてしまう傾向があるのです。 (p.22)

<コントラストの原理の例>

・ 軽いものを持った後に重いものを持ち上げると、最初に重いものだけ持ち上げた場合よりも重く感じる。実際は、重さは変わらないのに重く感じる。

・ 婚活パーティーで最初に魅力的な人と話して、次にそうでもない人と会うと、2番目の人は実際以上に魅力がないように見えてしまう。

<非婚化、少子化はテレビの美男美女のせい?>

・ 研究者の中には、テレビや雑誌などに登場する非現実的な美しさを持つ人(俳優やモデル)が原因で、現実に付き合う可能性のある身近な異性のルックスに満足できなくなってしまうと警告する人もいる。

・ ある研究では、ポルノ雑誌のような性的魅力が誇張されたヌード画像を見ると、配偶者や恋人に満足できなくなることが明らかになっている。

コントラストの原理を実感するデモンストレーション

①冷水、常温の水、お湯が入ったバケツをそれぞれ用意。

②片手を冷水に、片手をお湯に浸ける。

③両手を同時に常温の見ずに浸ける。

・ 両手を同じ容器に入れているのに、冷水に浸けていたほうは熱いお湯のように、お湯につけておいたほうは冷水のように感じる。

・ 同じものなのに、その前に起きた出来事次第で違うものに感じる。

  「コントラストの原理」が機能している例

①紳士服の販売店

顧客がスーツとセーターを買おうとしている。店員はスーツとセーターのどちらを最初に見せるか。

→ 店員は高い品物を先に買わせるように指導されている。価格の高いスーツを先に買えば、高価なセーターでも比較的に高くないように感じる。スーツと付属品のシャツや靴などの場合も同様。

②不動産会社の物件紹介

見込み客に物件を見せるとき、必ず魅力のない物件から始める。

→ その会社は「当て馬物件」と呼ぶ魅力のない物件を、高い価格で数件だけ掲載していた。その物件は売るためではなく、ただ見せるためだけにある。「当て馬物件」を見せたあと、本当に売りたい物件に連れていくと、見込み客の目が輝くのが分かるという。

③自動車のディーラー

新車の本体の売り値を決めてから、オプションの付属品などを提示する。

→ 新車(数百万円)の契約のあとなら、オプションの数万円など取るに足らない額に思える。ここでのテクニックは、オプションの商品を別々に提示することで、個々の単価が取るに足らないように思わせることができる。

とんねるずの番組と「コントラストの原理」


コントラストの原理で思い浮かんだのが、テレビ番組『とんねるずのみなさんのおかげでした』でした。

「買うシリーズ」という、芸能人が高価なものを急に買わされる企画で、この「コントラストの原理」が分かりやすく使われています。

高級な宝飾店に急に連れて行かれて、まず初めに見せられるのは何千万円する超高価な商品です。

そこで「とても買えないですよ」という流れがあったあとに、頑張れば買えそうな現実的な値段のものを選びます。と言っても、数百万円する時計だったりするのですが。何千万円もするものを見たあとであれば、お求めやすい価格に感じてしまうという。

 

よく合コンをしている友人は、ハズレの合コンのときは速やかに切り上げて、その後にキャバクラに行くという話をしていました。

ハズレ合コンのあとのキャバクラは、「コントラストの原理」の影響力で、普段よりも楽しくて散財してしまうのでしょうね。


(参考文献)

影響力の武器[第三版]: なぜ、人は動かされるのか』Robert B. Cialdini