コラム クラクラ編集部

第6回地域づくり交流会「これからの熊本の地域づくりにおける若者、高校生」熊本大学

熊大


2017年1月29日(日)に熊本大学工学部百周年記念館で行われた熊大政創研主催のイベント「第6回地域づくり交流会」に参加してきました。

今回は、上天草市、菊池市、山都町から地元の高校生(上天草高校、菊池高校、矢部高校)と、その地域に根ざして様々な活動をしている若者が一堂に会して、熊本の地域づくりと地震からの復興についてのパネルディスカッションが行われました。

いつも通り、内容をメモベースでざっくりシェアします。

活動報告(10分程度ずつ)+パネルディスカッション(90分程度)


  3つのお約束

冒頭、司会をされた熊大の田中先生より、良いディスカッションにするための雰囲気づくりとして、3つのお願いがありました。

1. 他の人を否定しない。

→ 他人の意見を無視しない、受け入れる。

2. 人の話をよく聞く。

→ 「聞いているよ」という姿勢を示す。

3. 自分の言葉で話す。

→ 良いことを言おうとしない。

  菊池川流域プロジェクト(菊池高校生徒)

活動

・ 菊池川流域の3校の高校生が地域のイベントとコラボして、年に3回イベントをした。

活動への参加理由

・ 志が高く、居心地がいい。

・ やりがいを実感。「高校生がイベントするなんて、すごいね」と声をかけてもらう。

活動の成果と学び

・ 部活のようなつながりではなく、ゆるいつながり。強制せずに楽しんでできた。

・ 各高校間のコミュニケーションが難しく、3校で取り組んだが、完全に連携してつながるというところまではいかなかった。

・ 活動に参加することで、イベントを主催したり、周囲で応援してくれる大人への感謝の気持ちが芽生えた。

・ 「間接的承認によるニンマリ」。イベントで喜ぶ人の姿を見て、やりがいを感じてニンマリできた。

活動の魅力と可能性

・ 縦と横のつながりができる。地域の大人と高校生という世代間の縦のつながり。菊池川流域の3校で取り組むという、地域をまたぐ横のつながり。

・ 活動の自由があり、チャレンジできるし、失敗もする。先生の指導のもとで行う学校の活動とは違う学びがある。

・ 学校ではできない、沢山のつながりができる。

自分からアクションを起こしたことで変わってきたこと

・ 自主的に動くようになった。先生が作ったレールじゃなく、自分たちでレールを作って、失敗して改善していこうという感じだった。

・ できなかったことができるようになったり、成長が実感できて楽しかった。

  NPOきくちのもん(代表:古田さん)

・ NPOきくちのもんは地域の町づくり団体。

設立の経緯

・ 設立当初は特に志が高かったわけではなかった。

・ 着物が好きで、海外旅行が好きだったので、海外旅行に着物を持って行って楽しんでいた。そうした着物で楽しむ活動を菊池でもできないかと思って始めた。

活動

・「キクチ × キモノ × フォトツアー」、「キクチ × キモノ × ファッションショー」、「キクチ × キモノ × マラソン大会おもてなし」、「キクチ × キモノ × 市民広場 × 書初め」など、自分たちのやりたいこと、楽しいことをやっていた。

・ 「キクチ × ウェディング」。結婚するメンバーがいたので、菊池渓谷でドローンを飛ばしてイベント化した。その映像が震災前の菊池渓谷の貴重な記録になった。

・ 震災後には、ボランティア団体に切り替わって活動をしていた。

・ 復興支援活動が少し落ち着いてきて、今は外国からのお客様の民泊事業に力を入れている。このインバウンドの民泊事業で、今までやって来た活動が全部つなげられるような機会になっていると思う。

学び

・はじめは自分たちのやりたいこと、楽しいことをただやっていた。地元(菊池)にそんなに思い入れがあるわけでもなかった。地域の人と関わるようになってから、興味が湧いてきて、もっと菊池のことを知りたいと思うようになっていった。

・菊池のことを思っている人は沢山いるのが分かった。けど、みんなそれぞれでやっている感じもある。みんなが連携してつながれるわけではないが、もっと一緒にできればいいなと思うところもあった。

・ 最初は「あなたたちに何ができるの」、「そんなのやり尽くしているよ」というような声もあった。活動を続けているうちに、それが変わり始めて、応援してもらえるようになった。

  矢部高校の取り組み(矢部高校生徒)

矢部高校の紹介

・ 生徒数は166人。生徒数が少なく、みんな仲が良い感じ。出席率、皆勤率が高い(出席率99.3%、皆勤率が66%)。

・ バイクが貴重な移動手段。2,3年生の6割がバイク通学。校内で交通教室も実施される。

活動

・ 県立大学の学生と、町の未来について語る「山都町わかもの会議」を実施。

・ 高校と森林組合とで中学生の職業体験を受け入れている。学校の山があるので、木工実習や和紙すき体験などを実施。

・ 高校で生産した草花を持って、小学校での花壇の花の植え付け指導もやっている。

今後の目標

・ 地域の人が学校にもっと来やすい環境を作る。

・ 町や高校のことをもっとPRできるようにしたい。

・ 自分たちからも地域に飛び込んでいく。

自分からアクションを起こしたことで変わってきたこと

・ ずっと住んでいても、地元のことは知らないことだらけだった。もっと知って伝統を伝えていきたいと思うようになった。

・ 地域との関わりで色んな人が声をかけてくれるようになった。地域との関係性が広がった気がする。

  通潤橋応援プロジェクト(代表:三浦さん)

活動の経緯

・ 山都町のシンボルである通潤橋が被災し、現役の農業用水として白糸地区に通水していたが、流せなくなった。

・ 役場がなかなか動かない状態だったので、通潤橋のための基金を集めたくて始めた。

・ 基金を募りたいのと、自分たちが楽しみたいというのが動機。

活動

・ 通潤橋の田んぼの田植え前の時期(6月の第一日曜)に開催する「お田植祭」を震災前に過去2回開催していた。

・ そもそも「お田植祭」が始まったのは、自分たちが楽しんでやっていたら、山都町にも人が来てくれるんじゃないかという発想から。

・ 通潤橋の田んぼは町の田んぼ。景観保全のために管理を任され、お米を作っている。町から借りているので、そこを使って町のために何かやろうという話から始まった。

・ 震災が起こり、3回目の「お田植祭」を、通潤橋応援プロジェクトとしてやろうとなった。

・ JAや商工会などの若手メンバーなどが、それぞれの会の名前を無しにして、垣根を超えてやろうとなった。

・ 祭りには160名ぐらいの参加があった。

・ 田んぼを使い、大人向けに「泥んこバレー」、子ども向けに「泥んこサッカー」を開催した。

想い

・ 良いことをしたと周囲から言われるが、自分たちが楽しいことをやっただけ。

・ そもそものお田植祭は、「行政はつまらん」という話からスタートした。行政は補助金とかお金がついてから何かしようとする。自分たちは発想が逆。やりたいことがあって、お金がなくてもやる。それを行政に見せたいというのもあった。

・ 生まれた時から見ている通潤橋が被災して、みんな泣いているような状態だった。それまでは日常にある普通の橋だったが、それが財産に見えてきた。通潤橋だけじゃなく、その先の水路や田んぼも守っていこうと思う。

自分からアクションを起こしたことで変わってきたこと

・ 当初は批判も多かったが、少しずつ「良いね」という声が出てきて、行政から「真似したい」というような声が上がりだすようになった。

「楽しく」という発想はどこから出てきたか

・ 楽しく遊びたいが、農業は時間が制限されるので、近場で楽しくやろうぜと。そうしていると、人が寄ってきて活動が広がっていく。

・ 「ただ楽しく」よりも上のレベルの活動まで行くと、本業の仕事に支障をきたすので、そこまでやらない。負担にならないように。

  上天草高校の取り組み(上天草高校生徒)

周囲の被災状況

・ 震度6ぐらい揺れ、停電になったりしたが、比較的にそれほど甚大な被害はなかった。

・ とにかく津波が不安だった。

活動

・ 防災避難訓練を実施し、高台への避難訓練で避難経路の確認をした。上天草高校は海抜0メートルで避難所に指定されていない。

・ ボランティア活動の募集があり、バスで西原村まで行って作業をした。

・ 街頭で震災募金のお願いのボランティアをし、県の義援金口座へ届けた。

・ 販売実習の「上天草バザール」で、阿蘇を拠点にする写真家の長野良市さんの『ゼロの阿蘇』の写真展をした。

・ 写真集の販売と募金というチャリティは、「上天草バザール」では始めての試みだった。

学び

・ 防災の重要性、日頃の備えの大切さと、日常のありがたさを実感した。

・ 被害の少なかった地域としての役割を考えた。

他校の取り組みから参考にしたいこと

・ 菊池川流域プロジェクトは、高校が3校の活動。周辺高校というのは、部活でも勉強でも勝つべき相手という感じだが、地域づくりでは連携が大事だと思った。

・ 矢部高校は小中学校と連携した活動がある。上天草ではないので、あれば良いなと思った。

  上天草市役所(保健師・寺さん)

・ 自己啓発休暇を利用して、2年間、青年海外協力隊としてガーナに行っていた。

・ 震災では津波が怖かった。

・ 行政の視点から、住民の命を守ることが一番の仕事なんだなと実感した。

自分からアクションを起こしたことで変わってきたこと

・ 田舎に住んでると人の目が気になる。やりたいと思っても、二の足を踏むところがあった。今はアフリカまで行って、既に変わった人なので、やりたいことを自由にできるようになった。

・ 天草で山登りをして頂上に着くと、山に行ったのに島があって、海が見える。年の半分以上が枯れているようなガーナの内陸に住んでいたので、その風景が当たり前じゃないんだと感じた。一度、外に出たから分かったこと。

・ 田舎では行政は安住の地と思われがちだが、職業に囚われず、やりたいことにチャレンジすることが鍵じゃないか。

同じ熊本でも地域事情が違って面白い


  印象に残った矢部高校

上天草、菊池、山都と3つの地域の方が来られての地域づくりのお話。

地域の特色が出ていて興味深かったです。

特に、山都町の矢部高校の話は、小さなカルチャーショックを受けるような情報がありました。

バイクが貴重な移動手段で、半数以上がバイク通学ということも知りませんでしたし、高校が小学校や中学校と連携した活動をしているというのは興味深かったです。

矢部高校は、地域での役割が大きく、地域コミュニティとの距離が近く、林業や農業、石橋作りなど現場でのフィールドワークが多いように見えました。熊本市内の普通高校とは、だいぶ勝手が違うなと。

大学がない地域では、高校が地域の最高学府として多くの若者を抱えている重要な機関で、その地域の原動力になる可能性を秘めた場所なんだと感じました。

  「島あるある」なのか

もう一つ印象に残った情報がありました。

上天草市の中学生は、3割しか地元の高校に進学しない

7割は上天草市外(多くは熊本市内)に行くらしいです。

地方創生の話で、島根県海士町の高校魅力化の事例がよく紹介されますが、他人事じゃなかったんですね。

もし、高校は地域の原動力として重要な機関だという仮説が正しいならば、3割しか地元の高校に進学しない上天草市の未来はそんなに明るくないのかも。

上天草市も高校魅力化プロジェクトを推進していく必要があるかもしれませんね。

 

パネルディスカッションって、まとめるのムズい。