
目次
「才能」と「努力」の関係
アンジェラ・ダックワース著『やり抜く力』(ダイヤモンド社)から学ぶ3回目。
1回目はウエストポイントについてでした。
(著書『やり抜く力』から、米国陸軍士官学校を知る)
2回目は成功できる人の共通点についてでした。
(著書『やり抜く力』から、成功する人の共通点を考える)
3回目は成功の心理学の理論についてです。
かい摘みます。
「成功の心理学」の理論
成功の心理学の理論は単純な2つの式で表されると結論付けた。
才能 × 努力 = スキル
スキル × 努力 = 達成
「才能」とは、努力によってスキルが上達する速さのこと。いっぽう「達成」は、習得したスキルを活用することによって表れる成果のことだ。 (p.70)
スキルが上達する速さである「才能」も重要。
でも達成のためには、「努力」は二重に影響するからもっと重要。
「スキル」は「努力」によって培われる。それと同時に、「スキル」は「努力」によって生産的になるのだ。 (p.71)
天才肌 vs 努力家
2倍の才能がある人は1/2の努力でも、スキルでは互角かもしれない。
天才肌タイプ:才能10 × 努力5 = スキル50
努力家タイプ:才能5 × 努力10 = スキル50
でも、そのスキルを活かして成果を上げる段階に入ると違いが表れ、長期的な達成では、努力家に大きな差をつけられる。
天才肌タイプ:スキル50 × 努力5 = 達成250
努力家タイプ:スキル50 × 努力10 = 達成500
努力しない天才肌よりも努力家のほうが大きな成果を上げる。
ウィル・スミスの名言
俳優のウィル・スミスはこう語る。
「才能とスキルは別物だとはっきり認識する必要がある(中略)だけど、一流になりたい、自分には夢がある、成し遂げたいことがあるんだ、なんて言っている人たちに限って、そのことをちゃんと理解していない。たしかに、才能は生まれつきのものだ。だがスキルは、ひたすら何百時間も何千時間もかけて身につけるしかない」 (p.78)
島田紳助の成功の哲学ともリンク
以前、クラクラ編集部さんの記事で、お笑いの養成所での島田紳助さんの講義に関するものがありました。
(「夢の追い方、あきらめ方」島田紳助の教え)
その講義は2007年3月のものですが、そこで語られている内容が、「成功の心理学」の理論とリンクしているんです。
詳しくは記事に譲るとして。
かい摘みます。
島田紳助が語った努力の重要性
講義では、売れるための簡単なモデル式が出されます。
才能 × 努力
→ 売れるためには、才能も必要。
→ 才能があるかを見極めるのは難しい。だから「最高の努力」を掛け算してみて、その世界の才能があるか試さないといけない。
→ 自分たち講師が教えられるのは、この努力の方法。この世界で、その「最高の努力」の仕方を学んでほしい。
→ もし芸人としての才能がなく売れなくても、培った「最高の努力」を別の世界でも掛け算していけば、必ず才能がある世界を見つける。そこで必ず成功するから。
クラスの優等生もヤンキーも
ハーバード大学を卒業。
マッキンゼーで経営コンサルタント。
オックスフォード大学で修士号。
ペンシルベニア大学で博士号。
TED Talks「成功のカギは、やり抜く力」の視聴回数は900万回以上。
2013年にマッカーサー賞(別名:天才賞)受賞の心理学者。
まさにエリート優等生タイプの『やり抜く力』著者アンジェラ・ダックワース。
そんな彼女が10年以上の研究を経て出したシンプルな理論。
才能 × 努力 = スキル
スキル × 努力 = 達成
かたや、不良少年からお笑いの世界で一流になった芸人、島田紳助。
優等生とヤンキーという、真逆にも思える生き方から辿り着いた二人の成功の理論がリンクし、共通の思想に基づいている。
これって、相当、説得力のある話で、一つの真実を指し示しているように思えてなりません。
努力不足よりも才能のせいに
そうは言っても、成功者を見ると、努力家よりも天才肌が多く、才能・センスのある人が優位で重要度が高いように感じます。
それは、自分の努力不足と考えるより、「あいつは天才だから」と考えたほうが楽だから、才能のせいにしたがる傾向にあると、アンジェラ・ダックワースさんは指摘していました。
でも本当は、天才肌が努力家よりも活躍するのは、多くの人が成功する人と比べて努力が足りない、また努力のやり方が正しくないから。
そして、才能やセンスの差を努力で逆転できると信じきれずに、途中で挫けてしまう人が多いからではないでしょうか。
やはり、GRIT(やり抜く力)を知り、その力を信じて、努力を継続することが大事なようです。
じゃあ、いつまで信じて努力を継続すれば良いのか。
島田紳助さんは講義でこう語っています。
売れないのにダラダラやっているのは、努力しきれないから辞められない。
「完璧にやった、努力した。けど才能なかったわー」と言えたら次へ進める。
努力したと言い切れるまでやって、それでダメなら次へ進んで、そこでまた「最高の努力」をする。
そんな努力家なら、いつか必ず成功する。
でも、天才肌に憧れちゃうんだよなー。笑
(参考文献)
『やり抜く力 GRIT(グリット)』Angela Duckworth