クラクラ × jenne
女性の就活から終活までの”輝き支援”を展開する「jenne (ジェンヌ)」。
そこでつながり、互いにエンカレッジし合いながら、熊本で様々な活動に挑戦されている方々を紹介していきます。
今回は、Budou Antenna shop+Community space 代表の松枝清美さんにお話を伺いました。
「どがんかなる」精神の原点
生まれは兵庫県姫路市で、4歳のときに熊本市に戻ってきました。小学4年生の頃、家の都合で親戚の家に1年ほど預けられていたのですが、そこが築100年ぐらいの長屋で、電化製品がなく、冷たい山水にお風呂は五右衛門風呂という家で。
へー。熊本市内ですか。
ええ、そうです。
学校から帰ってすることは、川の湧き水を汲んで、薪を焚き、お風呂を沸かす。洗濯は、洗濯板で洗って手で絞って干す。
明治生まれの伯母でしたから、食事は芋粥と煮魚で。もう「いつの時代?」というような生活でした(笑)
ですから、自炊は小さい頃からしていましたね。
それは、すごく「生きていく力」みたいなものが身につきそうですね。
そうですね。生活は裕福ではありませんでしたから、中学校の頃は新聞配達もしましたし、高校のときもレストランでバイトしていました。「自分の食い扶持は自分で稼ぐ」ということが普通だったのでしょうね。
高校卒業後は事務職に就き、その後は、飲食業やイベントの仕事、学童保育の指導員などをやっていました。朝から晩まで仕事をして、睡眠時間の3、4時間以外はずっと働いているような時期もありました。
それだけタフに働いてこれたのも、幼い頃の経験が原点として大きくあるのでしょうね。
そこはすごく私の中であります。何というか、生きるということでは、何があっても「大丈夫、どがんかなる」みたいなものが根強いです。
それに負けん気も強いので、できる・できないは問わず、まずやってみます。たまに、不安なときもありますが、「どがんかなる」と思うんですよね。
この場所(Budou)の構想は、いつぐらいからあったんですか。
主人の会社で働いていましたし、お店を持つことは考えていませんでした。本当に思いきった感じです。
どういった経緯でスタートしたんですか。
私には3歳の子どもがいますが、小さい頃は行ける場所が少なく、ずっと引きこもっていまいた。子育て支援センターなどはありましたが、ママ友グループの中に入りきれず、子どもと二人で遊ぶことがほとんどだったんです。
もっと他にも、楽しめるワークショップがあったり、気軽に集えるコミュニティスペースが南区にあったら良いなと思っていて。
そこに、店舗が空くかもしれないという話が出てきて。
そう、そんな場所を自分で作りたいってなりました。「川尻に住む自分が、ここを活かしたい!」と。
それから計画や資金繰りなどを1ヶ月ぐらいで準備したと思います。
あとは、やりながら改善していけば、「どがんかなる」と。
そうそう、「どがんかなる」と思って。
子育て世代のママや地域の人が集える場所であり、起業している人たちの情報発信と活躍できる場所を提供したくて、『コミュニティスペース』としました。
小さなお店でも、素敵な人やモノをご紹介して、人のご縁がつながれば良いな。地域と共に子育て支援をしていきたいな。
そんな想いで始めました。
子ども食堂 × キッザニア
一般的に「子ども食堂」と呼ばれる、子どもの孤食を減らす取り組みもされていますが、これはBudouを始められる当初から、その構想もあったんですか。
これもありませんでした。
ある時、ここに野菜を卸してもらっていた農家さんから「廃棄野菜の存在」と「子どもたちには無農薬の野菜を食べてほしい」というお話を伺っていました。
そこに『子ども食堂』という取り組みがあるという話があがると、すぐに話がまとまり、「ご飯と味噌汁だけでも良いから、とにかく栄養あるものを食べてもらおう」というところから始まったんです。
「子ども食堂」ではなく、「こどもキッチン」とされているのは、どういった想いからですか。
「食堂」だと提供する一方的な感じですが、「キッチン」だと作るイメージがあります。
集まって共に食事をするだけではなく、例えば、餃子を詰めて焼いたり、お味噌を作ったりと、子どもたちに体験させたいと考えています。
「こどもキッチン・ブルービー」はどれくらいの頻度で開催しているんですか。
今は月に1回ですが、来年からは月2回を考えています。様子を見ながら、継続できる範囲で増やしていきたいです。
「子ども食堂」と呼ばれる活動をやる上で、難しいのはどういったところですか。
保護者の方の認識の違いで、その利用の仕方も変わってきます。ですが、どのような利用の仕方であれ、そこに区切りをつけてしまうと、不特定多数の方にご利用いただけません。その中には、経済的理由のある方もいらっしゃるかもしれない。特定の理由を付けてしまうと、行きづらい場所になってしまいます。
行きづらい場所になったら、本末転倒ですよね。
そうなんです。ブルービーは、子どものコミュニティスペースとしているので、誰もが利用でき、月に1度でも子どもたちが楽しみにできるような、そういう場所にしたいと思っています。
同じ「子ども食堂」と呼ばれる活動でも、それぞれ構想が違うので、利用される保護者の方にはその趣旨をお伝えし、食材をご提供くださる方には現状なども加えてお伝えしています。
「Budou」はママたちの孤育てを減らして、「こどもキッチン」の活動は子どもたちの孤食を減らして、地域づくりの重要な拠点化しているなと思うんですが。今後、さらに取り組んでいきたいことなどありますか。
近くの老健施設に入居されている方がいらっしゃったときに、「子どもたちと一緒にご飯食べると元気が出るから、一緒に食べませんか」とブルービーの案内をしたら、「じゃあ行こうかな」とお返事されました。
そうやって、ご高齢の方にも利用していただきたいと思っています。ご高齢の方も、こもりきりにならずに出かけてほしいですよね。本当はもう少し店舗が広ければ、幅広い世代が交流できるような場所になるのかなと思います。
もう少し拡大して、もっと色んな交流ができる場にしたいと。
そこまで大きくしたいというのは無いのですが、少しずつ今やっていることを拡大していけたら良いなと思っています。
そして、今はお店に私ひとりなので。
病気とかされたら、お店を開けられないですもんね。
そうなんです。お店に余裕ができて従業員さんが雇えたり、ボランティアの体制を整えると、また変わってくるでしょうね。
あとは、子どもの体験の場を作って、いろいろ体験させてあげたいです。
キッザニアみたいなことをしたいですね。
子どもにプチ職業体験をしてもらうという感じですか。
ブルービーで、地域の飲食店とのコラボを考えているんですよ。
子どもたちにメニューの考案をしてもらい、実際にその店舗で、接客・調理・提供・会計までの一連を体験できる。出張型の子ども食堂として、利用者には低価格で提供させていただきます。
面白いですね。
地域の色んなお店とコラボしたら、幅広い食事をカバーできそうですし、地域のお店を知るキッカケにもなりそうですし。
すでに話ができているので、実際にいつするかというところなんですけど、すごく楽しそうだなと思っています。
子どものときから社会や地域とつながるのは大事で、学びも大きいのではないかと思います。
そうですよね。普段、何気に見ていることを体験することで、その仕組みや想いを知り、興味が湧くことがあるかもしれません。
その子どもも、例えば中高生が小学生に教えながら一緒に作ると、そこでも小さな世代交流ができますよね。
そうそう、そういったことが、やりたいんですよね。
お話聞いていると、できそうですけどね。来年とかに、普通にやっていそうな気がします。
多分、こうやって話していると、実現していきます。
何か困っても、きっと解決策はある。分からなければ、分かる人に尋ねれば良い。
大丈夫です、どがんかなる。
こどもキッチン・ブルービー