コラム クラクラ編集部

女性活躍推進講演会「東日本大震災と佐藤金属の話」熊本県女性の社会参画加速化事業

女性活躍推進講演会


2016年10月27日、熊日新聞社本館ホールにて開催された、株式会社 佐藤金属の佐藤克己社長の講演会に参加してきました。

佐藤金属は2015年に経産省のダイバーシティ経営企業100選に選定された宮城県の企業ということで、東日本大震災の経験と、その後の女性社員が活躍する取り組みについてお話されました。

震災の経験と女性の活躍による会社の成長という熊本の復興のヒントになるようなお話でしたので、いつものようにメモベースでざっくりとシェアします。

東日本大震災の経験


  株式会社佐藤金属の概要

・金属廃棄物の中間処理、いわゆる静脈産業。

・従業員数13名。

・所在地は宮城県岩沼市下野郷、仙台空港の近くの工業団地。

  ほとんど津波での被害

・耐震基準は厳しくしっかりしていて、地震での被害は少なかった。

・テレビでも出ていた仙台空港と同じように津波での被害がほとんど。

・電気ない、水道も浸かってダメ、トイレも使えない状況。

  仙台という土地柄

・仙台は大きな会社の支店が多い。

・工業団地は住民票(選挙権)のある人がいない地区。

→ 議会は選挙地域を優先するから、工業団地は忘れられた存在だった。

・大きな会社が工業団地から移転しだすとゴーストタウンになる危機感があった。

  岩沼臨空工業団地協議会として市長に直談判

・工業団地に約200社、そのうちの100数十社が協議会に入っていた。

・電気と通信の復旧を協議会として市長に直談判。

→ 「いつまでに道と電柱はこちらで整備するから、復旧してくれ」というような交渉。

  グループ補助金の活用

・3月の震災で、7月に準備できるようになっている団体は少なかった。

・事務局が商工会で、申請書の書き方を教えるコーディネートする人が存在した。

・大会社の支店が出てゴーストタウンにしたくない。地域を守るために一丸となった。

・そこで働く人の不安軽減のために、地質調査会社に頼んで、どこに避難すれば良いかなどのガイドを作った。どういう被害があったか、いつぐらいに自衛隊が来るかなど、震災の教訓をまとめてある。

・路線バス(通勤者の足)がなかったので、民間発で路線バスを運行した。

  自社の復旧

・そこだけで小さくやっている会社なので、どこからも支援はない。

・会社からの解雇はしない。それでも家族持ちの男性社員が離れていった。

→ 労働法も関係ない、朝6時に家に来て「辞めます」と言われるような状態。

→ おそらく、奥さんが「あんたの会社ダメでしょう、あっちに移ろう」となるのだと思う。

・その結果、女性社員だけが残る。女性社員が泥かきなどの力仕事も協力してやるようになっていった。

・当時は知らなかったが、周囲の会社では解雇をしていた。そのためか、そのあとに優秀な人材が入るようになっていった。

→ 震災のときに投げ出された経験が残っているようで、解雇しなかった会社が選ばれるようになった。

子育て中の女性の強み・魅力


   なぜ、お子さんを持つ女性を大事にしたか

・金属のリサイクル、廃棄物処理は3Kと見られることの多い仕事。

・お子さんを持つ女性は、子どもが大きくなったときにどんな環境になっているか関心を持っている人が多い。人は口で言うほど、将来のことを気にしていないが、子どもを持つ女性は違う。

・リサイクルや廃棄物処理という将来の環境のために必要な仕事にやりがいを見出すことができる。3Kの仕事でも使命感を持って取り組んでくれる。

  大事なのは、未就学児を持つ社員の遅刻早退の対応

・相互理解による相互作用。業務目標を個人単位ではなく、チーム単位に。

・流れ作業ではないので、調整ができる。

・半日単位で取得できる有給休暇を実践。決めの細かい職場環境を目指す。

・小さい子を持つ女性はメリハリのある働き方をする。遅刻早退の分はきっちり取り戻すし、ダラダラ残業したりもしない。

  業務内容のガイドライン化

・作業手順を覚えるマニュアル方式ではなく、目的を掲げたガイドライン方式。

・マニュアル化すると楽しくない。

・直面した機会にどう対処するか、個別のマニュアルで対応すると覚えることが膨大に。

・だいたいのルールの中での自由。「覚える」から「考える」へ。

・このガイドライン方式で、大きな怪我とかなく、事故も少なく、意外と楽しくやっている。

  マニュアル方式との使い分け

・プレス機の取り扱いは機器ごとにマニュアル化して安全第一の運用。

・機械に操作マニュアルを貼って、確認しながらできる。

→ 「ガイドライン化」と「マニュアル化」、この使い分けが大事。

  会社理念の構築

・会社理念の構築はダイバーシティ経営を支える。

・理念、ヴィジョン構築に1年くらいかけた。

  人事制度の改善

・震災後に運用。

・役職の定義に会社理念が入っている。

・役職の定義と金額表を社員に明らかにした。一人一人、ファイルに入れて持っている。

  多様性は有意義化(おもしろか)

・「均一性・画一性」と相対する「多様性」。

・「均一性・画一性」 → 「効率化」、では、「多様性」 → 「非効率化」なのか?

・「多様性」 → 「非効率化」ではなく、「多様性」 → 「有意義化(おもしろ化)」。

・「多様性」 → 「有意義化(おもしろ化)」に、「均一性・画一性」 → 「効率化」を統合することを目指す。

  ダイバーシティ経営と佐藤金属について

・「女性の活躍」と言うけど、女性を一括りにして良いのか。

・佐藤金属は、女性の推進を狙ったわけではなく、たまたま子育て中の女性とマッチングした。

・女性でも利害が対立することがある。利害を共有できる人とやっていくことが大事。

・お互いさまが大事。そういう人間の信頼関係の構築が大事。どちらか片方だけがやるのではなくて、困ったときは、今度は逆もあるので。

講演会の次第で使われる言葉


講演会で配布された資料に、佐藤金属の紹介などが載っているのですが、「女性社員の戦力化」とか、使われる言葉が会社目線、経営目線で、人を最重要に考えていない感じで、そもそものマインドセットが古いままなのかなということを考えさせられました。

多様性を有意義化(おもしろ化)につなげられるか。その鍵は、「違い」を発見したときに『No』のラベルの箱に入れずに、『面白い』という箱に分類できるか次第なのかもしれません。