コラム インタビュー

熊本県多良木町 地域おこし協力隊「宗像星磨」インタビュー

多良木町宗像さん
photo: 宗像さんより提供していただきました

熊本人物キュレーション<地域おこし協力隊編>


熊本の各地域で活躍する地域おこし協力隊の方の紹介を通して、その地域の魅力を発見していきます。

今回は熊本県多良木町の地域おこし協力隊、宗像星磨さんにお話を伺いました。

新卒の地域おこし協力隊


出身は鹿児島の霧島市です。高校を卒業した後に東京の大学に進学しました。そして今年の3月に卒業しました。

え、じゃあ新卒なんですか。

新卒の協力隊です。

そんなパターンもあるんですね。大学時代の専攻はなんですか。

社会学部社会学科で、グリーンツーリズムの研究をしていました。

それで、協力隊でもグリーンツーリズムがご担当なんですね。

はい、観光とグリーンツーリズムです。

グリーンツーリズムに興味を持たれたのはいつぐらいからですか。

僕の出身がかなり田舎で、多良木町より田舎のほうなんです。それで田舎が嫌で東京の大学に進学したみたいなところがあるんです。でも、出たは良いんですけど、やっぱり田舎が恋しくなって。大学3年生になるときに、自分の専門的な分野を決めないといけなかったんですけど、やっぱり田舎が良いなと思って、地域活性化の勉強がしたいと思ったのがきっかけです。

それで地域づくりとか町おこしの勉強をされて、就活のときに協力隊を受けられたんですか。

就活は就活で普通にしていて、地元の鹿児島の商社に内定が決まっていたんですが、やっぱり人吉球磨でグリーンツーリズムに関わることがやりたいなと思って辞退しました。

人吉球磨地域はグリーンツーリズムが発達していまして、その人吉球磨のグリーンツーリズムを作ったのが大学時代の恩師の教授なんです。そんな関係もあって、人吉球磨には大学3年生の時に現地調査で来ているんです。1週間ぐらい、実際に農家民宿に泊まって、色んな人にインタビューしたりしました。

そのときの体験がすごく印象的で、ターニングポイントになっているのでしょうか。

東京に住んで、やっぱり田舎が良いなと思い始めていたときに、グリーンツーリズムを体験しました。人吉球磨の大自然の中で、すごい温かいおじいちゃんおばあちゃんに優しくしてもらって、心が安らいだのだと思います。それで、人の温かさに触れることができるグリーンツーリズムに、どハマりしました。

ちなみにグリーンツーリズムは、基本、農家民泊なんですか。グリーンツーリズムの概念が少し曖昧で。

そうです、農家民泊が大事な要素になります。それで、田舎ならではの生活を体感することがグリーンツーリズムです。農業体験をしたり、田舎のおじいちゃんおばあちゃんと交流したり、田舎でゆっくりすることもグリーンツーリズムなんですけど。田舎そのものを体験するという感じですね。

就職で地元に帰る予定だったのを断るときは、ご家族の反対などはなかったですか。

僕の性格上、興味がないことにはあまりエネルギーを注げないタイプなので、「あんたはグリーンツーリズムに興味があるから、そっちのほうが良いと思う」と言ってくれて、背中を押してくれました。

それで今年の4月からですか。

今年の5月からですね。多良木町の地域おこし協力隊として活動させてもらっています。

グリーンツーリズムと命のツーリズム


まだ3ヶ月ぐらいですが、多良木町の生活はいかがですか。

人が温かいというのは想像通りでした。皆さん、すごく歓迎してくださって、良い意味ですごくおせっかいなところがあります。そういう環境にいることに幸せを感じます。

こっちだと、地域の集まりで、飲み会とか多そうですね。

そうですね、着任したときが色んな総会がある時期だったので、そこで挨拶をして懇親会に参加させていただきましたね。多良木の人曰く、ここは日本で1番飲む地域で、沖縄の人より飲むと。「肝臓のドナーはできないな」と言っていました(笑)

逆に、多良木の生活で何か大変なことはありますか。

虫が多いことです。ヘビとか苦手なんですけど、結構いるので。

普段の生活では、特に不便なことはないですか。

はい、全く問題ないです。

担当のグリーンツーリズムで、取り組まれていることや今後取り組まれていくことについて教えてください。

グリーンツーリズムをやるなら、農家民宿を増やさないといけないと思っています。今、多良木町に農家民宿は2軒あるんですけど、1軒は本業の農業が忙しくて泊める余裕がないということで、実際に稼働しているところは1軒しかないんです。それを増やすために、今、4組のお宅に農家民宿をやりませんかというお誘いをしています。

農家民宿をするには登録しないといけないんですよね。その登録に必要な条件みたいなものがあるんですか。

それが県によって条例がかなり異なっていて、熊本県の農家民宿を始める際の色んな決まりがあるんですけど、県が手引きを作っていなくて。なので、私が条例をまとめて、応募用紙と記入例を書いて、農家民宿を始めるための手引きを作っています。

それは大変ですね。
今、1つだけ稼働している農家民宿はどんなところなんですか。

元役場職員でグリーンツーリズムを担当されていた方で、おそらく、日本で初の農家民宿居酒屋もやっているところです。

へー、面白い。じゃあお家があって、隣に居酒屋があるみたいな感じですか。

そうです。お昼はラーメン屋もされています。

農家民宿候補として、4軒に声をかけられていると話されていましたが、どういった方に声をかけられるんですか。

今、声をかけているのは、農家民宿をされている方の推薦なんですけど。実際にお会いしたんですけど、人間味があって温かい人たちです。多分、そういう方じゃないと魅力ある農家民宿はやっていけないのかなと思います。

今後の展開としては、まずガイドラインを整備されて、それから登録という流れですか。

9月に大学の後輩が現地調査で多良木町に来るんですけど、その学生たちをまずは試しで泊めてもらって、どういうものなのかを感じてもらう予定です。

農家民宿については、グリーンツーリズムの情報が集約されているポータルサイトみたいな場所があるんですか。

多良木町のホームページには、住所と電話番号と載っているんですけど、グリーンツーリズム自体のホームページはないですね。

じゃあ自治体ごとに情報は集約されているような感じなんですね。

人吉球磨グリーンツーリズムというホームページはあるんですけど、あまり情報の更新がされていないので、その辺りの整備も今後進めていきたいと思っています。

その辺りの整備が進んで、農家民宿の登録が増えてきて。それをベースにして、そのあと、どういったことに挑戦されたいですか。

南雲吉則先生という有名なガンの専門医がいるんですけど、その方と私の恩師が人吉球磨で「命のツーリズム」をしようと言われていて。南雲先生の考案したガンにならない食事方法というのがあって、それとツーリズムを融合させたものを人吉球磨で始めていこうという取り組みがあります。

命のツーリズム
命のツーリズムin人吉球磨の様子(真ん中でビデオ撮影しているのが私です(笑))

多良木町には地域活性化をしたいという団体がいくつかあるんです。そういう人たちをつなげて、一つの大きな団体にして、多良木町でも「命のツーリズム」にならって、ガンにならない食事を提供する場だったり、健康という側面でフットパスの整備とか、命というところで鹿や猪を獲って、解体してジビエを作るとか。そういう体験を都会の人にしてもらえるような着地型の観光を創造したいと思っています。

都会ではできない体験ですよね。

実は先月、僕の恩師にイギリスに連れて行かれまして。イギリスはグリーンツーリズムの本場なので見に行こうと言われて、2週間ぐらい色々と見てきたんですけど。イギリスはフットパスが盛んで整備されているんですけど、そのイギリスのフットパスを多良木町にも取り入れていきたいなと思っています。

イギリスフットパス
イギリスのフットパス

イギリス式は何か特徴があるんですか。

面白いのが、フットパスの道があって、途中に柵があって羊を飼っている人の敷地があるんですけど、そこも通ることができるんですよ。柵はスタイルという踏み台を使って、敷地内も通っていって良い。そういうオープンなところが面白かったりして。

私有地もフットパスをしている人へは開かれているんですね。地域の人の理解や協力があるんですね。

そうです。イギリスのフットパスはどこでも絵になるような景色がずっと広がっています。多良木町でも車を使わないでも、絵になるような景色が続くような場所を、フットパスとして整備していきたいなという想いがあります。

そして多良木町をグリーンツーリズムで活性化させていきたいです。

妙見野自然の森公園
多良木町「妙見野自然の森展望公園」からの風景

多良木町地域おこし協力隊
Facebookページ https://goo.gl/vya9Zg