コラム インタビュー

熊本県多良木町 地域おこし協力隊「松岡翼」インタビュー

多良木松岡さん
photo:松岡さんより提供していただきました

熊本人物キュレーション<地域おこし協力隊編>


熊本の各地域で活躍する地域おこし協力隊の方の紹介を通して、その地域の魅力を発見していきます。

今回は熊本県多良木町の地域おこし協力隊、松岡翼さんにお話を伺いました。

熱意に惹かれて多良木へ


出身は熊本市で、大学進学で横浜に行きました。専攻は教育人間科学部という教育学部みたいなところだったんですけど、実は大学には8年ぐらい通っていまして。そろそろ卒業しなきゃなと思っていたときに東日本大震災があって。それがきっかけで、結局は卒業せずに熊本に帰ってきました。

東日本大震災で、心境の変化みたいなものがあったんですか。

ほとんどの家族が熊本にいる中、単身で関東に出てきていて。すごい揺れてるし、「もし、このまま死んだら、寂しいことになるな」みたいなことを思って。都会にしがみついている理由もないし、大学を卒業して就職したいとも考えていなかったから、とりあえず帰ろうと思いました。

大学時代はどんな感じだったんですか、フリーターみたいな感じですか。

大学のときは家庭教師をやっていて、そこが当時は学生が主体となって運営をしていたので、家庭教師をやって、そこから運営スタッフみたいなことをやっていって、ガッツリ営業みたいになってくると、サラリーマンみたいな生活になって、なかなか大学に行かなくなっていきました。

普通に社会人みたいに働いていたんですね。

そういう風になっちゃっていましたね。

熊本に戻られてからは、何をされたんですか。

実家に戻って、すぐにはすることがないからバイトをしました。それでお金を貯めて、自分で会社を作ってネット関係のビジネスで独立したんですけど。それが2013年なので、熊本に帰ってきて2年後ですね。

独立のビジョンは、熊本に戻るときにはお持ちだったのでしょうか。

熊本に帰るときは、何も目的もなく帰っていて、特にどうしようとも思っていなかったです。バイトをやっているうちに、ネット関係のビジネスは1人でもできることが多いので面白そうだなと思って始めました。

ネット関係は、具体的にはどんなお仕事なんですか。

アフィリエイトです。興味を持って試しにやってみたら、普通のサラリーマンの給料くらい稼げるようになったので、会社を作って本格的にやっていったという感じです。

それから、今年の5月に協力隊として多良木町に来るまで、その会社で仕事をしていました。

地域おこし協力隊にはどういった経緯でなられたんですか。

2014年に結婚して、2015年に子供が生まれまして。子どもを育てる環境について考えるようになりました。今よりももっと田舎のほうが、子育てをするのに良いのかなとか、漠然と思っていました。

今年の2月ぐらいに、地域おこし協力隊という制度があるということを知って、熊本市からもっと熊本の田舎のほうへ行くのもアリということが分かったので、応募してみることにしました。

それで、地域おこし協力隊を申し込むとき、いくつかの自治体を受けていたんですけど、ぶっちゃけ、多良木町は条件が良いほうではなかったんですね。

同じ地域おこし協力隊でも、勤務条件とか自治体によって違うらしいですね。

お給料の設定とかも地域でバラバラです。そういった条件の部分で多良木町は下のほうだったんですけど、面接を受けると面接する側の対応が結構違っていて、特色みたいなものが出るんです。多良木町は、一緒に何とか頑張って欲しいという熱意が伝わってきて、面接がすごく良かったんですよ。

そこで逆転したんですね。

結局、僕もお金が欲しくて地域おこし協力隊になるわけじゃなくて。そこでやりたいことをやると考えると、人との出会い、人との付き合いが地域であるわけじゃないですか。その代表が役場の方々になるわけなので、「条件は良くなくても、そこだろう」と思って決めました。

多良木から高校生社長を


多良木町での生活はいかがですか。不便に感じられることとかありますか。

役場から車で10分くらいのところに住んでいて、家の周りは田んぼばかりで何もありませんが、逆に言えば、車で10分でコンビニがありますし、スーパーやドラッグストアもあります。あとは車で30分で人吉なので、人吉まで行けば、だいたい揃うので。そういった意味では、田舎で大変ということは感じないですね。

逆に、移住されてきて感じられる多良木の魅力は何だと思われますか。

「妙見野(みょうけんの)」という山があるんですけど、見晴らしがすごく良いんです。そこからパラグライダーをやっていたりとか。役場から車で30分行くと、「槻木(つきぎ)」という地区があるんですけど、そこがめちゃくちゃ田舎なんです。もう絵に描いたような田舎で。

そういうところの魅力って、地元の人たちは日常の中にあるものだから、そんなに良いものとは思わないと言うんですけど、すごい魅力だと思うんです。

外から入ってきた人だから、その希少性とか価値に気付きますよね。

生活の中のちょっとしたことでもありますよ。僕は桃が好きなんですけど、桃って結構高いじゃないですか。でもここだったら、形が悪くて商品として出荷しない桃が無人販売に置いてあって、3つで200円とかで売っているんですよ。

そもそも、人吉球磨地域で桃が採れるというイメージがないですもん。
恵まれているというか、なかなか贅沢な環境ですね。

僕もこっちに来るまで知りませんでしたが、球磨郡では梨やメロンなど、フルーツを売りにしているところが多いんです。そういったことも、知られていないですよね。

協力隊で取り組まれていることについて教えてください。

定住支援というミッションが与えられていますので、空き家バンクをきちんと制度化しようと動いています。町に空き家情報を載せているページはあるんですけど、その情報もあまりよく載っていないので、その辺の整備を進めていくのが課題です。

最近始まった動きとして、「たらぎビジネス起業塾」という活動があります。すでに一度、開催したんですけど、20名ぐらい来てくれて、その中には高校生が3名参加してくれているんです。起業塾の一つの思惑として、地元の多良木高校の生徒に参加してもらって、在学中に起業して社長になってもらって、メディアにアピールしてもらいたいということがあります。

高校生社長、全然できると思いますね。
起業塾の形式は、セミナーみたいな感じなんですか。

今は僕が講師として話をする形にしてあります。半年分くらいの内容はストックしているんですけど、それ以降に関しては、起業塾のメンバーでチームを作って、「今回は、このテーマについて調べました」みたいな形でやっていったり、町の事業者の方のお話を聞く機会を持ったりとか、色々と考えています。

たらぎビジネス起業塾
ビジネス起業塾の様子

そういった活動で、ビジネスを始める環境が整っている町となれば、定住支援にもつながりますよね。田舎で仕事があるかが、移住の大きな不安だと思うので。

はい。起業したい人が町に来たときに、それを町の若い世代が中心となってサポートできるチームを作っておく。そのための勉強会という意味合いも大きいです。

このコンセプトだと町の人限定かと思いきや、「やる気がある方なら、どちらからでも参加OKですよ」ということで、Facebook等で告知をしていたら、町外からも参加されるケースもあって。だから理想としては、これを発展させて、自治体の枠を超えて地域をまたぐような活動ができる、そういう団体にしていきたいなと思っています。

地域をまたぐのは、自治体は苦手だからですね。
起業塾は今後も定期的にやっていかれる予定ですか。

月に1、2回程度やる予定にしています。先日、銀行の支店長の方にも話をしたので、今後はそういった方にも参加していただいたりとか、南稜高校という農業高校があるんですけど、南稜高校は地元で農業を絡めて起業する人材を育成したいという考え方を持っていて、そこが起業塾とマッチングできているから、そちらの生徒さんもぜひ参加したいという話があったりとか、活動が広がりを持ち始めています。

ビジネスモデルとして成立するかを見極めて、全部が全部成功するとは思っていないので、100個やって1個成功して、それが当たればオッケーだからですね。それをこのチームで仕掛けていきたいです。

そうやって色んなビジネスや面白い活動が起こることが町の魅力につながりますよね。若い人が集まる理由になると思います。

早い話、多良木で月30万もらえる仕事があるとなったら、来ると思うんですよね。でも、そこは田舎でのスローライフという傘の中、「都会よりも収入は少ないけど、仕方ないよね」みたいな空気があって。でも、田舎だからできないということは、ネットの世界だからないわけで。だとすると、「両方おいしいところを取って良いんじゃないの?」という発想でやりたいということです。

出てくると思いますよ、この地域から高校生社長が。

多良木町地域おこし協力隊
Facebookページ https://goo.gl/vya9Zg

たらぎビジネス起業塾
http://business.taragi.net/