コラム インタビュー

熊本県小国町 地域おこし協力隊「山本美奈子」インタビュー

小国町山本さん
photo:山本さんより提供していただきました

熊本人物キュレーション<地域おこし協力隊編>


熊本の各地域で活躍する地域おこし協力隊の方の紹介を通して、その地域の魅力を発見していきます。

今回は熊本県小国町の地域おこし協力隊、山本美奈子さんにお話を伺いました。

杖立のレトロな風景は大人の味


福岡市の出身で、大分県の大学を卒業後は、福岡でOLをしていました。小国町に来る前は、福岡の大学で8年ぐらい事務員として働いていました。

どういった経緯で小国町の地域おこし協力隊になられたんですか。

「ムラガール」って、聞いたことありますか。
九州で、村が好き、田舎が好きな女子たちを「ムラガール」と呼んでいるんですけど。

いや、知らなかったですね。

「山ガール」みたいな感じですよ。九州各地で、田舎に移住している人もいれば、田舎が好きで田舎に通う人たちがいて「ムラガール」と呼んでいて。その中に大学のずっと下の後輩の子がいるんですけど。その彼女と何年か前に出会って、私も田舎が好きだったので、二人で意気投合して。

それから、お休みの日が合えば、九州各地に行って、普通の農家さんの家に宿泊する農村民泊をして、田舎で遊んでいたんですよ。

山本さんも「ムラガール」だったんですね。

今、小国に移住してきて5年目くらいの小国町森林組合に勤めている女性がいるんです。彼女もムラガールの一人なんですけど。それで、ムラガール仲間と「小国町に面白いムラガールがいるから、遊びに行ってみよう」と言って来たのが、私が小国町に来た最初のきっかけでした。

それが、いつぐらいのときですか。

それが3年くらい前だったと思います。ただ、そのときは、木魂館という施設と福岡の往復しかしていなかったので、小国町の良いところを全然見ていなかったんですよね。

それでまた時を経て。
去年の8月に、再び小国町に遊びに行くことになって。そのときに、前回行ったときの懇親会で出会った方が、杖立で『杖バー』というバーをオープンさせたというのをFacebookで見ていて、そこに遊びに行こうとなって。そのとき初めて、杖立温泉に行ったんです。それで杖立温泉の景色を見て、「なんだ、ここはー!」と衝撃を受けて。一目惚れしてしまいました。

杖立温泉、行ったことありますか。

高校生のときに、新入生合宿研修が杖立温泉でしたね。

多分そのときと、今では受ける印象が違うと思いますよ。

大人になって行くと。

そうです。あのレトロな感じというか。
当時は、そんなに魅力的じゃなかったでしょう。

そうかもしれないですね。

あれは大人になって感じるコーヒーの苦さとか、ビールの苦さみたいなものと同じで、大人になって分かる魅力みたいなものがあるんですよ。長い年月の流れの中で醸し出されてきた本物の風情がある町で。はじめて訪れた町なのに、どこか懐かしくて、ほっとしました。

それから杖立があまりにも楽しくて、月に1回から多いときには2回ぐらい福岡から遊びに来ていたんです。そうしていると、小国町では不思議なことに、自然とお友達もできてくるんですよね。

それで移住を考えるようになった。

もともと田舎が好きで、田舎で暮らしたいという想いが5年ぐらいあったんです。それでも、福岡で普通にOLをやっていて、安定したその生活を捨ててまで田舎に飛び込むのは、勇気がいる決断だったんですけど。でも、小国町の場合は、何となく、大丈夫な気がしたんですよね。あと、この町は住んでみて、もっと良さが分かるはずだと思って。

そんな経緯で、今年の4月から小国町の地域おこし協力隊として働いています。

杖立を着物の町に


小国町の地域おこし協力隊の取り組みについて教えてください。

私が小国町に来てからやっていることが、大きく分けて三つあります。

一つは、「足湯カフェ」です。
ことの発端は、まだ移住とかが決まっていない今年の1月に、杖立に遊びに来ていて、「杖立の冬は、人が歩いていないから寂しい」という話を聞いたんですね。確かに、寒いから、本当に人が歩いていないんですよ。じゃあ、私が友達を何人か連れてきて、町を歩いたら喜んでくれるかなと思ったんです。ただ、寒いから、そんなには外にいられない。そこで、杖立には無料の足湯スペースがあるので、「足湯に浸かってたら、30分はいけるんじゃない?」という話になって。

無料の足湯スペースは温泉地ならではですね。

それで、福岡県大刀洗町の地域おこし協力隊の友達が『CARGO(カーゴ)』という車に乗るサイズの木製の可動式屋台を使って、コミュ二ティセンターでコーヒーを販売して、「コーヒーを片手に人が集う空間づくり」というのをやっていて。その協力隊の彼に、「極寒の足湯でCARGOを出してよ、コーヒー飲みながらだったら、1時間はイケるんじゃない!?」と冗談で言っていたら、本当に来てもらえることになって(笑)

それで当時、すでに小国町の地域おこし協力隊だった松井ちゃんと3人で、足湯カフェをすることになったんですよ。

足湯カフェ

それを、当時は福岡在住のOLさんがやっていたんですもんね。

そうです、杖立好きの福岡のOLがやっていました(笑)

それで、最初は「10人集まってくれたら、奇跡だね」と言っていたのに、極寒の杖立に80人近くの人が来てくれて。足湯ができた日以来の人の賑わいぶりだったそうです。それだけの人が集まってきたのを見て、みんなは集うきっかけがないだけで、集いたいという気持ちはあるんだなと思って。足湯カフェの、人の集い場としての可能性を感じて、これは今後もやっていきたいなと思いました。

足湯スペース自体よりも、そこを使って何をするかが大事なんですね。
活動の二つ目は何でしょうか。

二つ目は「OGU-CARGO(オグカーゴ)」です。
足湯カフェをやってから、小国の地域おこし協力隊でもCARGOを作りたいねということになりました。大刀洗のCARGOは「T-CARGO」。八女にもあって、「Y-CARGO」。地域で自分の地名をつけてCARGOを作っているところが多いんです。それで、小国町は、小国杉で作った「OGU-CARGO(オグカーゴ)」を出動させようということで始まりました。

オグカーゴ

3月の足湯カフェでは、T-CARGOがコーヒーを出して、OGU-CARGOが小国町のお菓子屋さんのお菓子を出して。そして、かき氷屋さんを呼んで、「極寒の足湯でかき氷を食べよう」というのをやったんですよ。そのときも、二日間連続で120人ぐらいの方が来てくださいました。

なるほど、極寒を逆手に取ったコンセプトがキャッチーで面白そうですね。
最後の一つは何ですか。

三つ目が「杖立着物プロジェクト」です。
もともと、私が福岡で鰹節を広げる活動を趣味でしていて。「削(けず)ラー」と呼んでいるんですけど。福岡で食育イベントなどで呼んでもらって、鰹節を削る講習会とかをやっていたんですね。

「削ラー」で「ムラガール」。色んな顔があって素晴らしいです。

その活動の中で出会った、着物と和食文化を今の時代に取り戻したいという活動をしている料理研究家のお友達がいて、鰹節と着物でよくイベントをやっていました。

私が杖立に移住してきて、杖立を盛り上げるようなことをやりたいなと思っている中で、杖立の昭和のレトロ感とマッチするものでピンときたのが、着物だったんですよ。それで、その田崎志織さんという料理研究家の方に、着物で杖立のことを盛り上げていきたいと相談して。

浴衣姿とか着物姿の人を増やして、杖立を着物の町にしようという夢を2人で掲げて、「杖立着物プロジェクト」として始動したんです。

プロジェクトでは、何か着物のイベントをやっていくのでしょうか。

そうです。それで第一回目をやろうとしていたところで、地震が起こったんですよ。小国町は、家屋の倒壊のような、地震の直接的な被害はほとんどなかったんですけど、観光業全般にはものすごい打撃を受けていて。

杖立の場合は水が止まったので、旅館の営業が停止になってしまったというのもあるし。土砂崩れで日田からの道が寸断されてしまったので、福岡からの観光客がほとんどいなくなってしまって。ゴールデンウィークの宿泊率は例年の1割ぐらいしかなかったそうです。

それで、観光客を取り戻そうということで、杖立着物プロジェクトは、急遽、震災復興プロジェクトとして第一回目を58日に開催しました。

イベントはどういった内容だったのでしょうか。

この日は、着付け教室を開催して、教わりながら自分たちで着付けをしました。着付け後は、みちくさ案内人という観光案内の方と、杖立の「背戸屋」というレトロな路地裏を散策しました。

今後も定期的にそうしたイベントが開催されていくのでしょうか。

着物プロジェクトは月に1回開催して、最終的には春ぐらいまでに、着物を1人で着られるようになるというのが一つの目標です。杖立と着物は、絶対合うと思うので、杖立の人たちも普段から着物を着る暮らしが普通になったらいいなと思っています。そして、レトロな風景と着物の町として、たくさんの観光客に来てもらって町を盛り上げられたら良いなと思います。

小国町地域おこし協力隊

熊本県小国町地域おこし協力隊
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