コラム インタビュー

熊本県五木村 地域おこし協力隊「伊藤麻里子」インタビュー

五木村地域おこし協力隊
photo:伊藤さんより提供していただきました

熊本人物キュレーション<地域おこし協力隊編>


熊本の各地域で活躍する地域おこし協力隊の方の紹介を通して、その地域の魅力を発見していきます。

今回は、熊本県の五木村地域おこし協力隊、伊藤麻里子さんにお話を伺いました。

五木村の風景はドラマで憧れたような世界


岩手県盛岡市の出身です。高校卒業して2年ぐらいは岩手で働いて、その後は上京して、IT関係の仕事をしていました。

上京後は、五木村に来るまでは、ずっと東京で働かれていたんですか。

東京ですね。社内のヘルプデスクの仕事を8年くらいしていました。

東京に住まわれていて、こちらに来られたのは、何かきっかけがあったんですか。

3.11の震災が一つ大きなきっかけです。震災では、命は助かったんですけど妹が被災をして。

それで、社内のヘルプデスクという仕事だったので、普通の消費者とか一般の方へのサービスではないわけですよ、社内の人に対するサービスなので。3.11の震災以降、そうした一般の生活者とか地域の方に関係する仕事がしたいという気持ちに変わっていきました。それに加えて、『遅咲きのヒマワリ』という四万十川周辺を舞台にしたテレビドラマを見て、自然に囲まれた場所での生活に憧れを持ちました。

その「地域の方に関係する仕事」と「雄大な自然に囲まれた生活」という2つから導き出されたのが、地域おこし協力隊なんですね。

そうですね。それで、当時からお付き合いしている彼が、熊本県球磨郡の出身で。付き合いも長かったので、結婚も視野に入れて、球磨郡で探したところ、五木村が募集していたという感じです。

では、人吉球磨地方には来られたことがあったんですか。

1回だけありましたね。彼の実家にご挨拶に来たときに1回だけ。五木村には来てなかったんですけど。

じゃあ五木村には面接のときに初めて来た感じですか。

いや、面接も東京だったんですよ。だから着任と同時に五木村に来ました。

そういうパターンもあるんですね。
五木村に来られて、どれくらいになるんですか。

2年目ですね。1年と3ヶ月ぐらいです。

五木村は、住まれてみてどうですか。

まず通勤のストレスがなくなりました。以前は東京の満員電車に疲れてしまっていたので。それから、何と言っても、景色が素晴らしいので、とても好きです。

逆に、東京から来られて、不便さとか感じることはないですか。

不便さは、例えば、夜に何か調味料を切らしちゃったというようなときは、コンビニがないので、ちょっと困ると思うんですけど。そういった場面はめったにありませんし、買いだめをするようになったので、そこまで不便にも感じなくなりました。

ホームシックみたいなこともなかったですか。

全然なってないですね。
もともと私、起伏のある地形が好きで。

地形ですか。地形の好き嫌いって新しいですね。

岩手にはリアス式海岸があって、あっちの海は高低差が激しいんですよ。断崖絶壁の下に海があるみたいな。そういう地形がもともと好きだったんです、ただ平坦な砂浜と海みたいところより。それで、五木村は山の中で起伏があるので。

合っているんですね、地形が。

そうです、合ってるんです。ここの景色は好きですね。

今回の熊本地震の影響はどうですか。
例えば、家屋の倒壊のような直接的な被害はありましたか。

そういう被害は全然なかったですね。集落ごとに危険な箇所が変わるので、自分のところが危ないと思われた方は避難されていたみたいです。

ライフラインが止まったりとかもなかったですか。

それも全然なかったと思います。

風評被害みたいなものはどうでしょうか。

道路とかも問題はなかったのに、ネット情報か分からないんですけど、「ここが通れないから、五木村にはいけない」みたいな情報が出回っていたらしくて。今、人吉方面のトンネルを工事しているんですが、それは震災の前からやっていた工事だったんですね。でも、「震災の影響で通れなくなっている」みたいな噂が流れていたみたいです。

そうした誤った情報が出回って、五木村には行けないと思っている方が結構いらっしゃったようで、そういった問い合わせが入っていたようです。そうしたこともあってか、五木村は被害は無いんですけど、客足はぱったり止まってしまって。これは五木村に限らずで、人吉球磨地方はほとんど被害が無かったんですけど、客足が遠のいているという話を聞きます。直接的な被害よりも、そうした観光面などで打撃を受けていますね。

バンジー飛んで、狩猟免許を取って、五木村ライフをPR


五木村バンジー

地域おこし協力隊としての担当業務はどういったことでしょうか。

観光PRです。
だから去年は、PRでバンジー飛んだりしましたよ。

へー、バンジージャンプ。どうでしたか。

さすがに縁に立ったときは少し怖かったですけど、一度飛んでしまえば、それからは楽しかったですよ。

五木村の観光PRでバンジーは外せないですよね。
観光シーズンはやっぱり夏とかになるんですか。

そうですね、新緑の季節と紅葉の季節が、山が綺麗なので良いシーズンだと思います。あと夏は、水遊びに来る方が多いと思います。

夏はすごく気持ち良さそうですよね。山の緑とか川の清流とかすごく綺麗ですし。

本当にそうですね。去年の夏は川で泳ぎましたが、気持ち良いですよ。

今は観光関係で取り組まれていることは何かありますか。

グリーンツーリズムの団体に入っていまして、フットパスのコースを作っています。集落や小さな路地、森林など、普段は車で通り過ぎちゃうようなところを歩いて散策する、そのコース作りをしています。

「フット(Foot)パス(Path)」だから、歩いて散策するルートみたいなことか。
コース作りは何かコツみたいなものがあるんですか。

歴史的、景観的に見てもらう場所を考えたりとか、歩いても危険じゃないかとかを考慮して。年配の方でも体力的に問題ないかとか、トイレ休憩はどこでできるかとかも考えますね。

コース作りをすることで、地域の資源や魅力を再発見することになるかもしれないですね。
コース作り自体がアクティビティの要素があって、楽しそうですよね。

はい、そうやって道を歩いていくので、最近はちょっと山菜とかに詳しくなってきました(笑)

あとは、個人的なことでは、狩猟免許を取ろうと思っていて、今ちょうど勉強しています。

狩猟免許ですか。
試験はペーパーと実技とあるんですか。

そうです。ペーパーのほうは法令だったり、獲って良い動物と獲ってはいけない動物を覚えたり、色々あるんですよね。実技では、罠の設置の仕方とか、あとは鉄砲も実技があって、銃を解体してまた組み立て直すみたいなことをやるようです。全国の地域おこし協力隊で狩猟免許を取る人は、今までにも何人かいたみたいですよ。

すごいなー。そこまでできたら、五木村の自然を本当に満喫できそうですね。
そういうツアーみたいなものはないんですか。狩猟に同行して見学できるみたいな。

まだ無いんですよね。狩猟は法令的にどうか分かりませんが、解体の見学とかであればできるかもしれませんね。

バンジージャンプもそうですけど、五木村まで来ないとできないような体験があれば、観光の目玉になりそうですよね。
五木村の物産館には、ジビエを使った商品が売ってあったりするんですか。

あります。鹿コロッケとか鹿ジャーキーとか、色々ありますよ。

なかなか珍しいですよね。人吉球磨地域では、ジビエの商品はそんなに珍しくないんですか。

どうでしょうね。鹿の解体所は、五木村のものも含めて、球磨郡内に2 3箇所だったと思うんですよ。それで五木村だと、解体所にCAS冷凍というものがあって、繊維を壊さないように冷凍できて、絞めてから1時間以内に解体所に運びこむという決まりもあるので、すごい新鮮だと思います。

CASシステムがあるのはすごいですね。

だから、鹿肉は東京のレストランにも卸しているそうです。

こっちでは普通に食べるんですか。

食べます。この前は、鹿肉をひき肉の状態で買って、ハンバーグにしました。あとはキーマカレーみたいにすることもありますし。お店で「鹿カツカレー」を出しているところもありますよ。

五木村で近々開催されるイベントとか、観光行事はありますか。

8月の5日、6日にバンジーの1周年記念イベント(https://www.facebook.com/events/1789613437936696/)があります。その前は別の橋でやっていて、場所が変わって1周年なんですね。その1周年記念のイベントでは、「ナイトバンジー」といって夜に飛べるんですよ。

それはヤバそうですね。

底が見えないので、すごくスリリングだと思います。
飛ぶ人はジャンプスーツに光るものをつけて飛ぶ予定みたいなので。それを周りで見学できて、屋台も出るようなので、楽しいイベントになると思います。

最後に、今後やっていきたいことや、目標みたいなものがあれば教えてください。

任期後も定住するために、起業をしたいと思っていて。去年ビジネスプランコンテストにも出たんですよ。

後ろの棚に賞状がありますね。

一応、賞をもらったんですけど、五木村の森林資源を活用したプランを考えていて、五木村の木を使ったアロマを作ろうとしています。その試作品を作るのが直近の目標です。

あとは、まだ体制が整っていないんですけど、五木村も移住して来られる方を受け入れられるようになれば良いなと思っています。

五木村はすごく素晴らしい土地なので、来たいという人は結構いらっしゃると思うんですね。ただその受け皿があまり整っていないので、まずは空き家の情報とか、移住に必要な情報の整備ができれば良いなと思っています。そうして、五木村の移住者仲間を増やしていきたいです。


五木村役場
http://www.vill.itsuki.lg.jp/