熊本県南小国町 地域おこし協力隊「関口正憲」インタビュー

南小国町地域おこし協力隊
photo:関口さんより提供していただきました

熊本人物キュレーション<地域おこし協力隊編>


熊本の各地域で活躍する地域おこし協力隊の方の紹介を通して、その地域の魅力を発見していきます。

今回は熊本県南小国町の地域おこし協力隊、関口正憲さんにお話を伺いました。

金融から地域おこし協力隊へ


生まれは福岡ですが、転勤族だったので、福岡で生まれて長崎に行って、その後に熊本市内に行って。熊本が一番長くて、小学校から高校卒業まで11年ぐらいいました。大学進学で福岡に行って、社会人で東京に行って、今、南小国町にいます。

大学時代はどういったことを学ばれていたのですか。

専攻は化学系でした。燃料電池の触媒部分の開発をしていました。

では卒業後はメーカーかどこかに就職という感じですか。

いや、金融です。生命保険会社の東京の本社で働いていました。そこで資産運用のセクションにいました。

化学から意外ですね。

ツッコミどころ満載の経歴だと思います。大学でも院試まで受かっていて、でも、このままで良いのかなと思うようになって。考えた結果、「就職させてください」と言って留年して、文系就職ですからね。

金融は何か興味があったりされたんですか。

そのときに思っていたのは、物とかじゃなくて、人に価値を置けるものって何だろうと考えて。金融だったら、どこも同じような商品で、差別化が難しい。その中では、人という切り口で差別化ができるのではないか、そういったところに人の魅力が関わってくるんじゃないかと思って、金融を志望しました。

当初のビジョンとしては、大学院まで行かれて、メーカーとかの研究職というイメージだったんですか。

大学入学した当初はそうでしたね。

では、在学中に何かきっかけとなる出来事があったのでしょうか。

そういう意味では、大学時代にNPO法人のドットジェイピーという団体で活動させてもらったことが大きいと思います。そこでは、議員のところにインターンシップに行くプログラムを大学生に提供していました。

運営側として活動されていたということですか。

そうです。インターンは2カ月間の体験なんですけど、2カ月間インターンをして、その後は1年間運営側で活動していました。

議員さんのインターンにも行かれたんですね。

そうですね、県議会議員の先生だったんですが、すごく先生も忙しかったので秘書の方に付いて活動させていただきました。議員はすごく幅広く多種多様な人と会っているので、そういった方々と会う中で、色んな価値観や考え方を伺えて、刺激になって楽しかったなという印象が強いですね。

そこで色んな人とつながる仕事に興味を持たれたわけですか。

はい。そこがターニングポイントになっていますね。それが無かったら、文系就職もしなかっただろうなと思います。

金融の仕事はどれくらいされていたんですか。

3年9ヶ月です。それが前職になります。

金融から地域おこし協力隊というのも、また珍しいパターンのように感じますが。どういった経緯があったのでしょうか。

もともと、独立したいなと思っていて。地域に目を向ければ、色んな資源があって、活用しきれていないという現状もある。そんな中で、田舎の暮らしを体験しながら、そうした地域資源を見ていきたい、勉強していきたいと思って。

「九州に戻ろうかな」という考えもあったのでしょうか。

結婚して、妻とは福岡の大学時代に知り合ったんですけど、いつか九州に戻りたいという話はしていました。それで、大学時代とか社会人になってからも、毎年、黒川温泉のほうに来ていて、その中で「いつか、ここに住みたいね」と言っていて。それなら、このタイミングにということで、思い切ってこっちに来ることにしました。それで、ご縁あって、今に至ります。

生産者と旅館とをつなぐパイプに


南小国町に来られてどれくらいですか。

今年の1月からなので、半年ちょっとですね。

住まれてみて、いかがですか。不便に感じることとかありますか。

福岡でも福岡市、熊本でも熊本市と、ずっと都市部に住んでいて、中山間地域みたいなところに住むのは初めてなので、慣れずに苦労していることもあります。その最大のものが「虫」です。例えば、10センチぐらいの大きなムカデが出たりというのは、ならではだなと思います。特にこれから初めての夏なので、ドキドキしているところです(笑)

なるほど、虫は嫌かもなー。
買い物とか、病院とか、そういった普段の生活で不便に感じることはないですか。

車があれば、不便に感じることはないですね。逆に言えば、車で10分ぐらい走れば、温泉に入れるという贅沢な環境です。

そうですよね、温泉は頻繁に利用されますか。それとも、逆に近過ぎると行かなかったりするのでしょうか。

私は週一ぐらいで、気軽に来ていますね。

地域おこし協力隊としてのミッションは何でしょうか。

特産品などの商品開発です。

開発されるにあたっては、色んな旅館さんとかのお土産品を食べられて、研究されるんじゃないですか。

全部とはいかないですけど、ポイントポイントで、町で作っているものは食べさせていただいているかと思います。

個人的な好みで結構なんですが、何かオススメとかありますか。

1つは黒川のすぐ裏にある平野商店さんという漬物屋さんです。私はもともと漬物はあんまり好んで食べなかったんですけど、こっちに来て高菜漬けが阿蘇地方の特産品としてあって、平野商店さんの高菜漬けを食べたら、すごく美味しくて、ハマってしまって。

あとは地元のお母さんたちが作られているポン菓子みたいなものもあって。南小国町の玄米や無農薬の野菜とかで作ったグラノーラですね。これは糖尿病の方とかが取り寄せて買われていたりするみたいです。そういう意味では、南小国町の自然の素材そのものを活かしたものなのかなと思います。

地域おこし協力隊として、今後、取り組んでいかれたい課題などありますか。

自分自身と町と、それぞれミッションがあると思うんですけど。自分自身としては、ウェブ関係に強くなるために勉強中ですので、そこに町としての商品開発を絡ませていきたいと思っています。シンプルに言うと、町の生産者さんと旅館さんとをつなぐ役割になりたい。そこにウェブ開発とか、システム的なアプローチを入れていきたいと思っているところです。

地元の生産者と旅館が上手くつながっていない現状があると。

背景として、中山間地域なので地形もいびつで、大規模農業ができない。そういった中で、皆さん少量多品種で、自分たちが食べるものを作られているような環境になるので、商業用にはあまり向かないんですね。そうしたこともあって、現場では数値化がされていないんです。どれくらいの農産物ができて、どれくらい規格に合わない農産物があってとか、ざっくりとした感覚でしか把握されていないところがあって。

自分たちで食べるのが主目的だから、「できたしこ」という感じなのかもしれないですね。

そういったところに数値化という切り口を入れて、どこの生産者で何がどれだけ収穫されているのか、見える化していけたらなと思います。

旅館さんで地元のものを使ってくれているところもあるんですけど、量とか時期とかが、そぐわないということで、地元のものを使えていないところが多いです。

数値化して、供給側の状況を把握できるようになれば、旅館さんも使いやすいと思うんです。そうした生産者と旅館とのニーズのマッチングみたいなことをやっていけたらなと強く思っているところです。

あとは、南小国町の観光協会でも活動されているということで、そちらの取り組みも教えていただけますか。

観光協会では、熊本県の「地域づくり夢チャレンジ事業」で、黒川温泉だけでなく、黒川を起点に、黒川周辺も回遊してもらうための取り組みをやっていきます。具体的には、着地型旅行商品の造成、お土産品の開発、スイーツメニューの開発という3本を柱に、南小国町の地域資源を活かした体験とか、商品とかを紹介したパンフレットを作成します。このパンフレットを見て、黒川以外の南小国町のスポットにも足を運ぶきっかけになればなと思っています。

それはどれくらいのスパンでできるイメージなんですか。

10月から11月にパンフレットができたらと思っているので、それまでにスイーツメニューだとか、着地型旅行商品とかを、開発していかないといけないなと思っています。

この先、オススメの観光イベントなどがあれば教えてください。

11月ぐらいに「米フェス」というイベントがあります。南小国町でお米の収穫が終わる11月頃に、採れたばかりの新米の食べ比べができるイベントです。私もまだ参加したことないんですけど、今度で3回目になります。南小国だけでも色んな品種があるらしくて、無農薬にこだわっている生産者さんとか、10くらいの生産者さんのお米と、ご飯に合う食べものがあって、美味しいお米を堪能できるイベントです。

へー。米フェス、面白いですね。

私も移住する前に、面白い取り組みだなと思っていたんですけど、今度は実行委員に入って携わることができそうなので、すごく楽しみです。

ぜひ、南小国町の美味しいお米を食べに来てください。


 

南小国町観光協会
https://www.facebook.com/minamiogunikanko