熊本県大津町 地域おこし協力隊「齋藤剛司」インタビュー

大津町地域おこし協力隊

熊本人物キュレーション<地域おこし協力隊編>


熊本の各地域で活躍する地域おこし協力隊の方の紹介を通して、その地域の魅力を発見していきます。熊本地震の影響と今後の取り組みなども伺います。

今回は大津町の地域おこし協力隊の齋藤剛司さんにお話を伺いました。

都会と田舎が丁度よい大津町


生まれは東京で、物心つくかつかないかの時に千葉に引っ越しました。それからずっと千葉育ちです。結婚を2005年にしまして、それに合わせて神奈川に引っ越しました。それで10年ぐらい神奈川にいました。

大津町に移住される前はどういったお仕事をされていたのでしょうか。

航空会社の関連企業で、機内誌の広告営業をやったりとか、旅行代理店の営業、ハワイの別荘を売ったりもしていました。あとは、「JET STREAM」というラジオ番組を基にしたCDの通信販売の仕事など、色々と携わってきました。軸としては広告営業がメインでした。

以前から田舎暮らしへの憧れのようなものがあったのでしょうか。

地方での生活、自然に近いところで生活したいなという想いがありました。東京の有楽町に移住の相談センターがあるんです、全国の都道府県の出先が集まっていて。2014年の12月ぐらいから、そういうところの説明会に行ったりとか、移住された方のお話を聞いたりとかしている中で、ネット検索をしていたら「地域おこし協力隊」という制度があるのを知って。それで、さらに調べていたら熊本県大津町が募集していたというような経緯です。

その当時は、熊本県大津町という地名をご存知でしたか。

大津町に関しては、情報はありませんでした。
地域おこし協力隊を募集しているのを知ったので、まず見てみるかということで下見に来ました。

その時の印象はどうでしたか。

空港から近いし、国道がしっかり縦横にあるし、熊本市内へ行くのもそんなに時間がかからない。JRもあって、交通がすごい便利だと思いました。それと人ですね。下見で町内を走っている時に、横断歩道の所で地元の高校生が会釈して渡っていったのを見て、「大津町の人は、なんて礼儀正しいのか」と感動しました。

熊本以外の地域も実際に行ってみて検討されたのでしょうか。それとも、はじめから、九州を希望されていたのでしょうか。

他のエリアも行きましたが、何となく気持ちが落ち着くのが九州だったんです。血縁は熊本にないんですけど、福岡の飯塚には親戚がいたので、旅行で人吉に行ったり、仕事で天草に行ったりしていて、熊本は好きだったんですよ。

生まれも育ちも関東で、お仕事でも関東から出て生活されることはなかった。それで田舎へ移住されるというのは、不安はありませんでしたか。

移住をするときに難しいのが、本当に田舎暮らしがしたい人もいれば、田舎と都会のバランスが良いところを希望する人もいます。我々もその辺りのギャップでホームシックにかかったら嫌だなという不安はありました。ただ、大津は阿蘇も近くて自然環境に恵まれていながら、近場にチェーン店のようなお店もあれば、ちょっと行けば光の森のような大型モールもある。その辺りのバランスが丁度良かったと思います。

大津町の震災後の現状と今後の取り組み


地域おこし協力隊として、どういったお仕事をされているのでしょうか。

私に与えられているミッションは特産品開発と六次産業の発展です。それから前職を活かして、町のPRですね。ここ最近は、農協の青年部の方や若手の農家さんなどと話をしながら、エゴマの栽培をやってみようかと検討しているところでした。

なぜエゴマなんですか。

エゴマであれば農家さんが自ら加工までできるのではないかということと、大津町の特産品である「からいも(さつまいも)」はご高齢の方にとっては非常に重いですよね、収穫もひと苦労です。エゴマは葉っぱですから、高齢の農家の方でも比較的扱いやすい省力化野菜という点もあります。大津でも農家さんは高齢化していますので。それで、まずは休耕地や耕作放棄地でやってみると良いのではないかということだったんですが。

地震があって一旦全部ストップということですかね。

そうですね。今はそれどころではないという感じです。納屋や家屋の被害もありますし、用水路の損傷で水の確保が難しくなり、米から大豆栽培へ転作を検討している方も多いようです。

避難されたり車中泊の方はまだ結構いらっしゃるのでしょうか。

当初と比べると少なくはなってきているようですが、まだいらっしゃいます。あとは、大津町は南阿蘇村からの避難者も受け入れています。特に立野地区は阿蘇大橋の所が分断されていますので、仮設住宅も大津に作って、子どもさんも大津の学校に転校されるというような方も結構いらっしゃるようです。

街なかのお店などは営業を開始しているのでしょうか。

中心部にあるイオンは一階のみで営業しており、二階は被害が大きかったようで閉鎖中です。その他のスーパーや飲食店の多くは通常営業しています。

道の駅大津も営業されているようですね。

被害は若干あったんですが、地震後、すぐに炊き出しや支援物資の配給をされ、営業も早い段階からやっています。ゴールデンウィークもしっかりやっていました。ただ、多くの場合、阿蘇観光にいくときの通過点ですから、阿蘇への観光客が戻ってこないと、お客さんは少ないですね。でもスタッフの方は様々なイベントを実施して努力されています。

避難所生活の方もおられますが、お店が普段通りオープンして、少しずつ日常生活は戻りつつあるようですね。
今後の取り組みについておしえてください。

もともと特産品開発ということで、特産品のギフトボックスを作ろうという話になっていたんです。震災後に、南阿蘇村の商工会で「がんばれ南阿蘇 応援BOX」というものがあったので、大津町でも特産品ギフトボックスのプロジェクトを動かして一緒に盛り上げていきたいと思っています。本来は事業者や商工会の方が動くのでしょうが、皆さんお店の修理や原料の手配に動き回っておられますし、商工会の方も事業者からの相談対応でお忙しく、それどころではないんですよ。じゃあ、地域おこし協力隊のほうでやってしまおうと。

面白いですね、支援したい人の選択肢を一つ増やせますし、これをきっかけにして特産品を知ってもらうことにもなりますね。

おっしゃる通りだと思います。被災地支援の応援ボックスから始まって、特産品の詰合せボックスとして機能していけば良いと思っています。

他の地域へも広げて、オール熊本で、地域をまたいで特産品の詰合せが自由に作れたりすると、またバリエーションが増えて面白そうですね。
その他、何か企画やイベントなどありますか。

あとは県外都市部でのマルシェですね。復興市を企画していまして、大津町の観光協会が主体となって、益城や西原、南阿蘇の事業者にも声をかけて一緒にできればと思っています。

例年開催しているイベントなどは、開催見通しはいかがでしょうか。

これからは、秋の「からいもフェスティバル」に先立って、5月29日にからいもの植え付けをするんです。これは一口3,000円でオーナーを募って、5月末に植え付けをして、例年11月の「からいもフェスティバル」で収穫をします。(オーナー募集は終了しています)

それは今年もあるんですか。

からいもオーナーの植え付けはやります。ただ、「からいもフェスティバル」では、からいもを使ったお料理や、ステージイベントなどが開催されるんですね。このお祭りに関しては、やるかどうか、まだ復興の状況を見ながら判断していくことになると思います。少なくとも11月のこの時期に、からいもの収穫だけはするということになっているそうです。

最後に、地域おこし協力隊として地域外から移住されて、大津町で好きなところ、好きな風景はどういったところでしょうか。

良い場所は結構あるんですが、空港方面から国道325号線を下って大津のほうに来る道の途中から、右側に広がる阿蘇の山並みと町の北側にあたる矢護川地区の田園風景が非常に好きな風景です。阿蘇の山々、西原の風力発電の風車。それが家の窓から見える。こういう幸せって、すごいありがたいなと思います。


熊本県大津町 地域おこし協力隊
https://www.facebook.com/chiikiokoshi.town.ozu.kumamoto/