コラム インタビュー

動物イラストのプロ「ささ さとこ」インタビュー

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sasaさん
photo:さささんより提供いただきました

熊本人物キュレーション<ビジネス編>


熊本の起業家、事業者、フリーランサーのルーツを紹介し、独立のきっかけ、ビジネスへの想いを紐解きます。

今回は動物イラストのプロフェッショナルの『ささ さとこ』さんにお話を伺いました。

好きな絵を仕事にする


高校卒業して、熊本から東京に行ったのですが、もう中学ぐらいのときから、家を出て自由に生きたいなという気持ちがありました。だから、上京してからは、羽根を伸ばして自由を謳歌していました。

東京は進学で行かれたのですか。

小さい頃から絵を描くのが好きだったので、将来は絵でやっていきたいなと思っていました。それで、絵に近い仕事って何だろうと思ったときに、グラフィックデザインの仕事を考えて、デザイナー学校の夜間に行きました。その当時は、通学社員といって、働きながら学校に行かせてくれるというところがあったので、昼間は飲食店で働いて、夜は専門学校に行ってという生活でした。

働きながら夜間の学校に通うというのは結構ハードですね。

でも結構楽しくて。
昼間に専門学校に通っている方たちは、課題がすごく多くて、途中で断念して辞めてしまう方もいるんですよ。でも私の場合は、夜間で課題はそこそこにこなして、あとは自由に遊びながら楽しくやっていました。夜間の専門学校は、社会人の方も沢山いましたので、その人たちと飲みに行ったり、遊び回っていましたね。

充実した専門学生時代だったのですね。

そうですね、卒業後は不動産会社の宣伝部が広告代理店になった会社で務めました。そのときはまだバブルを少し味わえるような時代だったので、「みんなでお昼ごはん食べに行こう」と言って、ランチでビールを飲んだり、夕方くらいになると、普通に働いている方が透明の水を飲んでいて。それが透明の水ではなく、アルコールだったりとか(笑)面白かったです。

すごい時代ですね。そのときはどういった業務を担当されていたのですか。

そのときは版下の時代でしたので、今はパソコンでやっていることを手作業でやっていました。写植を頼んで、上がってきたものをカッターで切って貼ってという時代ですね。それで私は、マンションを買われるときに見てもらう図面集というものがあるんですけど、その版下の制作進行係という担当でした。全体の流れのスケジュールを管理して、建築の方と、版下を作ってくれる方と、図面を起こしてくれるトレース屋さんと、間に入って色々な調整をして印刷屋さんに入稿するといった仕事でした。

一通りの仕事の流れを把握しないと難しいようなお仕事ですね。

そこで印刷物の制作、発注から納品までの仕事を覚えました。

そこではどれくらいお勤めだったのですか。

2年半ほど務めました。
その後は、もともとグラフィックがやりたかったので、デザイン事務所に行きたいなと思って仕事を探しました。ただ、なかなか希望に沿う仕事が見つからずに、派遣やバイトをしながらつなぐというのが1年くらい続いたかと思います。そこから小さなグラフィックデザイン事務所でのアシスタントとしての経験を経て、次に入った新しい会社では、電通さんの広告のお仕事ができるようになりました。

電通の仕事となると、私でも見たことあるような大きな広告も携わられたのではないですか。

大きな広告では伊藤ハムさんの広告がありました。お中元やお歳暮の広告で、私が入社したときはシルベスター・スタローンさんの広告が動いている時期でした。

実際に有名人を生で見る機会もあるのですか。

スタローンさんの後が、大地真央さんと石坂浩二さんだったんですけど、撮影が海外だったので、もちろん一緒に行くことはできなくて。その次が田村正和さんで、田村さんは撮影のときに現場で会えました。

撮影の現場にも同行されるのですね。

同行します。撮影に対して、少し提案みたいなこともできます。基本は電通のディレクターさんが仕切っているので、紙媒体はどうするという打合せで案を出して、方針を決めていきます。そして、撮影の前に、タレントさんの写真と背景を私の方で合成したりとか、難しいシチュエーションであれば、イラストで起こしてもらったりして、それでクライアントさんに確認を取って、OKがもらえたら撮影に行きます。

スポンサー、代理店、タレント事務所、それぞれの思惑があって調整が大変そうですね。
その会社でのお勤めが長かったんですよね。

その会社では5~6年くらい働いていたと思います。そのときに結婚して、子どもができたので退職しました。子育てしながら続けるのは、とてもじゃないけどできない、周囲の人に迷惑がかかるので無理だなと思いました。修正とかあれば、すぐ対応しないといけないので。

「子どものお迎えがあるので帰ります」というわけにはいかない。

無理ですね。「自転車ですぐ持って行って」みたいな感じで、専用の自転車があるんですよ。それで急ぎの修正など持って行っていました。

そして、退職と出産を契機に、イラストレーター・絵本作家としての活動を始められていくわけですね。

もともと絵が好きだったので、絵のほうでやっていこうと思って。最初は趣味のような感じでスタートしました。

その後、東京で個展をされたり、東京現代美術館「東京展」の絵本部門に出展されたり、すごいですね。しばらくは東京で活動されていたのですか。

そうですね、東京で活動をしていて、2011年の震災の後に熊本に戻ってきました。

東京での経験を熊本で活かす


絵本作家って、どうやったらなれるんですか。もう名乗ったら絵本作家なんですか。

そうですね、もう名乗ったらなれます(笑)

最初はどういったところから始められるんですか。

たまたま、子どもが生まれると同時に、りすのキャラクターも生まれました。毎日の子育てから物語が生まれて、落書きみたいな感じでラフ描きから始まって。それを下描きして、絵の具で塗って。製本とかは、グラフィック系の仕事をしていて得意なので。

そこで印刷物の制作の流れを把握されているという経験が活きてくるわけですね。

印刷したものもありますけど、製本はすごくお金がかかるので、自分で製本してハンドメイドで作っています。それが結構大変で、経験がないと難しいところかもしれないですね。すごく地道な作業です。

絵本作家とイラストレーターやグラフィックデザインのお仕事はどういったバランスでお考えでしょうか。

一番やりたいのは絵本なんですけど、絵本で生計を立てるというのはなかなか難しいので、グラフィックやイラストのお仕事でお金を貯めて絵本を作っていくという方法が良いかなと思っています。そしてお金が貯まるようになってきたら、個展も、東京とか大きな都市でやりたいです。

それと、絵画教室もされているんですよね。

実は3月で終わってしまったんですけど、日頃は音楽をやっている音楽教室の一室で、少人数で絵画教室をやっていました。子どもたちと絵を描くというのは楽しいので、また余裕ができてきたら、今度は自分が主催した絵画教室もやってみたいなと思います。
あとはワークショップとして、マトリョーシカのキーホルダーの絵付けを公民館などにお呼びいただいてやっています。マトリョーシカの絵付けは、大人の方も「やってみると、結構ハマる」という声が多いので、幅を広げてやっていきたいなと思います。

今後はどういったお仕事に挑戦していかれたいですか。

企業さんからの視点で考えると、広告はできる限りコスト削減したい部分だと思います。それで、社内でデザインを専門としない方が広告を作られているという企業は沢山あると思うんです。

中小企業は多いと思います。若くてパソコンが得意な社員に任せるみたいな。

そういった企業に出向いて、自社の広告やPRの仕事をされているところのクオリティを上げる、どうしたらもっと上手くいくとか支援する。広告の制作を請け負うというよりも、そうしたサポートのほうがお役に立てるのかなと思っています。

自社の広告部門のコンサルと言うか、相談役と言うか。大きな予算で単発の広告の制作を依頼するより、小さな予算で継続的な顧問を頼んだほうが企業としてはメリットが大きいかもしれませんね。

素人の方だと難しい部分は色々あると思うんです。単純にソフトを使いこなせてなくて、時間がかかって業務効率が落ちているというような場合もありますし。一番難しいのは、印刷に出すときに、色調整で悩まれると思うんですよ。そういった仕上げの調整だけでも、随分と出来栄えが変わってくると思います。

こうした広告やデザインのお仕事でやりがいを感じるのはどんなところですか。

例えば、一番分かりやすいのは、自分がパッケージを作ったとして、「パッケージが変わって、売れた」となると、直接分かるかと思います。広告だと、なかなか効果が実感しづらいところもあるのですが、商品は分かりやすいですよね。
熊本は自然があって水に恵まれていて食べ物が豊富で、東京から戻ってきた私としては、すごく貴重で大事にしないといけないなと思います。そうした熊本の食べ物のパッケージもやりたいです。

ずっと地元にいると分からないですが、一度離れると恵まれていることが分かるのでしょうね。これからTPPの影響で海外への販売も増えて、今まで以上にパッケージのデザインやブランディングが大事になってくると思います。

トウモロコシのキャラクターだったり、色々なキャラクターを一つの売りにしているので、そうしたキャラクターでパッケージから愛着を持ってもらって、売上げにつながるようなお手伝いができればなと思います。

さささとこウェブサイト
http://satoko33.wix.com/sasa

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聞き上手のプロフェッショナル
クラクラ 編集部 (Who Cares/メディア)
「インタビューは、私たちなりの人への投資です。」

熊本でビジネスや地域活動に挑戦する人にスポットを当て、その生き方や取り組みへの想いを紹介します。熊本で頑張っている人を応援すること、その生き方に触発されて新たな挑戦をする人が増えていくこと、総じて熊本がもっと面白くなっていくことを目標にしています。
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