フリーランス動物看護師 増子元美インタビュー(前編)

動物看護師
photo:増子さんより提供していただきました

熊本人物キュレーション<クラウドファンディング編>


熊本でクラウドファンディングに挑戦する仕掛け人のルーツを紹介し、その背景、プロジェクトへの想いを紐解きます。

熊本市中央区水前寺、『コンパニオン・アニマル・パーティー』。代表の増子元美さんはフリーランスの動物看護師として、動物に関するカウンセリングや訪問サポートをされており、動物の様々な問題について総合案内ができる「わんにゃんぴっ相談室」の全国設置を目指されています。今回は、挑戦されているクラウドファンディングのことを含めて前編・後編に分けてご紹介します。

動物看護師としてのスタート


高校生の頃、進路を考えるときに色々な学校を調べていて、動物看護師を養成する学校の存在を知ったのが最初のキッカケでした。

子どもの頃から動物関係の仕事をしたいという願望があったのですか。

母も祖母も美容師で、3歳くらいのときからパーマ屋さんに出入りしていたので、小さい頃は、大人になったら美容師になると思っていました。実際に、高校生のときに通信で勉強していて、あとは卒業後に1年間インターンをすれば国家資格を受けて美容師になれるようにしていました。

でも、その1年間の修行をしたくないわけですよ。人を綺麗にする仕事で小さい頃から憧れていたのですが、やっているうちに、あまり得意でないことに気付いてきました。「何か違うかもな」と思うようになっていきました。

それで専門学校に進学されるわけですが、なぜ「動物看護師」だったのでしょう。

遡ると、小学校のときにずっと保健係だったんですよ。運動場でケガした人を保健室に連れていったりする人ですね。保健室に連れていって、保健の先生の手伝いをするのが大好きな子どもでした。病院も好きで、病院の色々な医療器具やそこで働く人を観ることが好きでしたね。

その医療現場が好きなことがあって、プラス、小さい頃から動物が好きだった。

両親が動物好きだったので、子どものときから常に動物が身近にいました。「動物が好き」と言うより、当たり前の存在という感じですね。

専門学校のときには、美容師は封印して、動物看護師の道を進もうと決断されていたのですか。

専門学校に行っているときも、まだ完全には決めかねていました。33年前の当時は、動物看護師の輩出が少なく、動物病院で動物看護師を雇い入れることもあまり進んでいませんでしたので、もしかしたら、美容師に戻ることもあるかもしれないと思っていました。

そうした不安や迷いを持ちながらも、動物看護師の道を進んでいかれたわけですね。

はじめは、動物病院に週一回の研修に4カ月行かせてもらうことからスタートしました。「雇うことはないけど、それでも良ければ」ということで始まった研修だったのですが、それでも楽しいわけですよ。知らないこと、新しいことを全部やらせてもらえる。また、医療機器好きだから、余計に楽しいわけです。学校で学んでいても、実際にそれに触れることはないので。

そうして現場で働いてみて、動物看護師としてやっていきたいという腹が決まっていったのですか。

一番大きかったのは、人間の整形外科の治療や研究のための3頭の犬との出会いです。食事やお散歩などのお世話だけでなく、検査や処置の時に医療行為の体験をさせてもらいました。彼らは普通にご飯をもらって、お散歩に行って、研究の対象になっていることを悔やむわけでもなく、ただ真っ直ぐに生きている。どんな境遇でも弱音を吐かず、今を真っ直ぐ生きる姿は、人を羨んだり自信のない弱い自分を正してくれるコトバなき師匠でした。

そんな動物たちが、関わる人間(動物看護師)で、もっと笑顔で最期まで過ごせるように役に立ちたい。動物看護師でいる事=私の「生きる意味」、「自分を信じて努力する事」。それで動物看護師としてやっていきたいと心に決めました。

動物も子どもも親を映す鏡


その研修が終了してからは、どうされたのですか。

最初は「雇わない」ということで始まった研修だったんですけど、特別に雇ってもらえることになりました。それからは毎日働けるわけですから、充実していましたが、どこか不安もありました。ずっとそこで雇ってもらえるか分からない。動物看護師の先輩もいないし、結婚して続けている人もいないので、分からないわけですよ。

見本となるモデルがいないから不安ですよね。

24、25歳くらいの頃に、「このままいくと結婚できないな、一度自分の好きな職業から離れてみたらどうなるかな」と思って、思い切って仕事を辞めて、今で言う婚活のようなことをしました。仕事は好きだけど、子育てはしたい。本当は両方ほしかったけれど、私の場合、両方は無理と思いました。

好きな仕事だから熱中してしまう。

それで27歳のときに結婚して、その後、子どもが二人生まれました。そして下の子が2歳になったときに、以前勤めていた動物病院に週2、3のパートで雇ってもらい仕事復帰しました。

病院の昼休みの時間にクライアントさんに電話をして、「そろそろお薬がない時期ですけど、その後どうですか」とか、電話相談室のような仕事をするようになりました。その約5年間の経験が、今の「わんにゃんぴっ相談室」という仕事に活かされています。

そういったところに動物看護師ができる仕事があると気付かれた。その後、熊本に戻ってこられてフリーランスの動物看護師になられるわけですね。

熊本に戻ってからすぐは、仕事があるわけではありませんので、近くのスーパーと魚屋でパートをしていました。そのうちに、毎週日曜日に自然食のペットフードを扱っているショップでカウンセリングをさせてもらうようになりました。

それから、週一回のカウンセリングに行っていたショップが新規出店することになって、そこにフルタイムで務めることになりました。朝10時から夜7時までだったんですが、やはり好きな仕事だから、バリバリ働いてしまうんですよ。

そうすると、家庭にしわ寄せがくるんですね。娘が不登校になって、自分も体調を崩してきて。それで一度仕事をストップしました。

いったんリセットすることになったのですね。

それからは臨床心理の先生に付いてもらって、子育ての向き合い直しですよね。この経験で、母親が変わると、子どもがこう変わるんだというのを経験しました。そして、これは犬も猫も一緒なんですね。

共通点があるんですね。

動物は喋ることがありませんが、実は子どもも何を悩んでいるか喋らなくなるので、臨床心理士のような専門の先生が探っていきます。そして、データによると、こういう絵を描いているお子さんはこういうリスクがあるとか、親が気付かないことを教えてくれるんですよ。

うちの場合は、それで気を付けて見るようになって良くなっていきましたが、誰も気付いてあげられないで最悪の結末になることもありますよね。それは動物の場合も一緒だと思うんです。問題行動を起こす犬猫って、もしかしたら、飼い主のパパやママの接し方が変われば改善するだろうなというのを勉強することになりました。

実地で学ばれたわけですね。

その道のプロである臨床心理の先生のアドバイスは、「子どもさんは悪くないですよ、お母さん、あなたですよ、変わらないといけないのは」と言われているようでガツンと来るんですね。でもそのアドバイスを聞いて、自分が変わっていったら、娘も変わっていったので、そういった先生との出会いで助けられたなと思います。

だから子育ても、犬育ても、そういう人と出会うかどうかで、親も飼い主さんもすごく変わってくると思うんです。犬や猫たちは、ただ真っ直ぐに生きているだけなので、飼い主さんが元気になれば彼らも元気になります。

飼い主を映す鏡なんですね。

そうですね。動物も人間の子どもも親を映す鏡だと思います。

(後編へ続く)

(後編)『犬猫問題解決NOTESとは』

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